「ゲホ、ゴホッ」


・・・不覚。





第十六話:頼れる人はたくさんいる





「あ?風邪だァ?」
「・・・はい(ゲホゲホ)」


そう、私は不覚にも風邪を引いてしまった。


「どうせ隊長と裸で寝てたんだろ。だから風邪引くんだよ、思春期が(けっ)」←通りすがりの山崎氏
「オイ、後で面貸せテメェ。キャラ変わってんし」
「なんだ?久し振りだからって張り切ったのか?二人目か?」
「テメェも言ってんじゃねーよ。第一、してないし。アレですよ、多分インフルエンザ」
「何を根拠に」
「今流行ってるからです。で、ひじ・・・病院に行こうかと思ってんですけど、」
「オイ、今俺の名前呼びかけただろ。移す気かコラ」


移せるもんなら移してーよ(辛いもん)
おっと、本題から逸れちまった(退が変な事言ったからだ)


「で、もしインフルエンザだったら実家で療養したいんですが」
「樹と総悟なら大丈夫だろ」
「アンタわかってんですか。総悟が料理なんか作ったら、それこそまさにポイズンクッキングですよ」
「・・・そういえばそうだったな(←経験済)」
「育児はそれなりに出来るんですが、家事は一切出来ないんで、アイツ」
「あー、樹ちゃんなら俺達に任せて、とっとと家帰んなよ。つか帰れ」
「オイ、お前さっきからなんだ?私に恨みでもあんのか?お?」


退、ブラックバージョン(わぁ、土方さんが怯えてる)
まぁ、ブラックバージョンが言った事だけど、此処は皆に任せよう。
軽く身支度をし、いつを抱えて再び外に出る。
いつの顔を見た瞬間、ブラック(命名)はいつものでれーとした表情に戻った(コレには私もある意味びびる)


「・・・じゃ、よろしくね」
「うん、行ってらっしゃい。もういっその事、そのまま永眠しちゃって(超笑顔)」
「そいつシメてやってください、土方さん。そのまま永眠しちゃうくらい(無表情)」


優しい口調だが、内容が黒い。実に黒い(なるほど、こういう腹黒タイプか)


「じゃ、行ってきます」
「ふぇ・・・」

ガラッ

「ふぇぇー・・・」
「・・・・・」
「まぁー・・・あぅーっ」
「・・・・・」
「あぁぁーっ!」
「・・・っ」
「「(何故そこで意地張るんだ、母親・・・)」」


ゴメンよォ、樹ィィ・・・!!(by:昼ドラ)(子供を残して夜逃げより)











「ただいま・・・(げっそり)」
「おかえりー(いつにも増して凄い顔)」
「いつー、樹ィー・・・」


一週間向こうで過ごし、やっとの思いで帰って来た。
アレほど酷な一週間は無かった。


「大丈夫?なんか、行く前よりやつれた気するけど・・・」
「おー・・・」
「(聞いてねェ)」
「いつぅぅ・・・」

ガラッ

「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・(なんだろう、この空気)」


まぁた微妙なあやし方してるよ、土方さん(赤ん坊一人あやせないようじゃダメだな)
いつもいつで、微妙なあやしに対し、微妙に険しい顔をしている。
うわぁ、なんだろう、このものすごーく居心地の悪い空気は。
つかお前等、私の存在に気付けコノヤロー(生死を彷徨ってたから、霊並に存在薄いのかな・・・)


「土方さん・・・」
「っ!?お、驚かすんじゃねーよ!いつの間にいやがった!」
「さっき、普通に障子開けたんですけど・・・」
「まーっ!」
「おー、いつ。元気だねェ・・・」
「ま・・・」
「オイ、樹戸惑ってんぞ。完治してねェんじゃねーのか?」
「いえ、インフルエンザは一昨日、完治しました。・・・けど、胃の方がまだでして・・・」
「胃?」
「おぞましい物体エッグを食べた末路がコレです・・・」
「エッグ?卵か?」
「おぉ、中学生英語がわかるとは・・・」
「調子が悪くても俺をバカにすんのは忘れないんだな」


当たり前。
いつは私が帰ったのを喜んでいるのか、微妙なあやしから解放されたのを喜んでいるのか、私にべったり。


「で?卵がどうしたんだ」
「アンタは体験した事ないかもしれませんけどねェ、うちの姉が作った卵粥を毎日三食欠かさず食わされたんですよ」
「いい姉持ったじゃねーか」
「そーですね、端から見りゃいい姉ですよー。でもね、その卵料理が人の記憶を飛ばす程の威力があるんですよ」
「・・・・・」
「その卵料理を一週間三食欠かさず無理矢理食べさせられて・・・。記憶飛ばないだけでも奇跡ですわ」
「・・・なんつーか、ある意味ディープな生活送って来たんだな、今まで生きて来て」
「そーですよ。新ちゃんのメガネも妙の焼けた卵の威力です」


私は胃で収まってるからまだマシな方。
あの料理はホント、生死を分けさせるような料理だからね、うん。


「樹ちゃ〜んv(ガラッ)・・・あ、帰ってきやがった」
「本当になんなのお前。一週間経ったってのによォ」
「丁度一週間前、振られたらしいぞ」
「ヂグジョォォォッ!!」
「あー、只単に機嫌悪いだけですか、そうですか」
「樹ちゃ〜ん・・・!お兄さん慰めて(ひしっ)」
「ぅ?」
「土方さーん。犯罪者がいるんですけどー、私が捕まえちゃっていいですかねー」
「好きにしろ」


土方さんはそれだけ言うと部屋を出てった。
つか、誰がお兄さん?(いつにとってはおじさんの他、何者でもない)
前、人妻がいいとか言ってなかったけ?ロリコンもプラスされるのか?奴の趣味に。


「アンタ、そういう趣味まであったんだ」
「つか俺、基本なんでもいい」
「なんでも?例えば?」
「人妻もロリもSMもコスプレでも何でも。あ、因みに俺、Sだから」
「うわー・・・(総悟より濃い)(Sだったんだ)」
「やっぱり一番は人妻かなー。人妻と言うか、彼持ちの子。なんか・・・奪い取って滅茶苦茶にしたくなっちゃう」
「(黒ーっっ!!)」


びっくりだよ、今まで3年以上付き合ってきたけど、まさか退にこんな趣味が・・・!
総悟は人苛めるタイプのSだけど、コイツはまた別の意味でSだ!
なんつーか、自分の手は汚さず、色んなものを壊して楽しむようなS・・・とでも言うのかな。
ぜってーコイツ、人の不幸は蜜の味とかいうタイプだよ(私もそうだが)


「仮にちゃんめちゃめちゃにしちゃったら、それこそ命無いからね、俺。だから手が出せない」
「ん?その発言は私が総悟の妻じゃなかったら手を出してたって事?」
「そーだね。特に副長の彼女とか手応えありそう」
「ちょっとー!キャラが完璧変わってんですけどォー!」
「でも、局長となると出し辛くなるんだよなぁ、良心が邪魔しちゃって」
「すいません。もういいんで、いつものホワイトバージョンに戻って下さい、ブラック君」


Sだからか、退が怖く見える(Sだからこそ打たれ弱いの!)
もう趣味丸出しだよ。え、誰のって、(自主規制)の。


「樹ちゃん、ちゃん(おかあさん)がいないから淋しそうだったよ」
「(お、戻った)そうなの?いつ」
「俺達が相手してる時は楽しそうなんだけど、沖田さん(おとうさん)が帰って来た途端、べったりだったし」


いつは本当にお父さんっ子なのかも(親父はそれを望んでいるようだが)


「ねぇちゃん。樹ちゃんに剣術とか教えるつもりなの?」
「さぁ、どうだろうねェ。いつが全然興味なさそうだったら無理強いはしないけど・・・」
「あぅ、まぅ、やぅ」
「そっか。でも、二人の子だから将来楽しみだ」
「そう?(確かに総悟の子だから楽しみっちゃぁ楽しみだけど)」







「あ、樹ちゃんも貧乳で悩んだらどうしよう」
「総悟と同じ事言ってんじゃねーよ(チャカ)」









  





黒山崎は私の趣味です(あ、言っちゃった)
(2008.7.6)