そういえば、





第十一話:同じ日に生まれた子





散歩がてらにいつと一緒に万事屋に向かう。
依頼しにではなく、遊びにだ。
だって、今まで仕事とかで忙しかったのに、今はある意味暇だもん(そして、ある意味忙しい)
アイツ等(隊士達)の炊事掃除洗濯が今ではたった3人分。なんか暇だ。そりゃぁ、育児は育児で大変よ。
まぁ、兎に角も暇だし、いつと散歩したいしで万事屋に遊びに行く。





ガラガラ

「すいませーん、コレ(ベビーカー)、ちょっと此処置かして下さい。上に用があるんで」
「ナンデスカイキナリ。非常識ニモ程ガアリマスヨ」
「お前が言うな(パンッ)、久し振りじゃないか。銀時達が言ってた子供ってその子の事かィ?」
「えぇ、出来ちゃって産んじゃいました。名前は樹です」
「ば〜v」
「ガキガガキヲ産ムナンテ世ノ中腐ッテマスネ」
「(パンッ)丁度私もアイツに用事あったとこだから一緒に行くよ」





「え、何その組み合わせ。花二輪の隣にドリアン的な妖怪がいるんだけど」
「誰がドリアンだ!いい加減、家賃払えってんだよ!」
「本当に何なのその組み合わせ。孫、曾孫みたいなそのポジション何なのちゃん!」
「遊びに来たんだよね〜、いつ」
「あ、そうなの。だったら入って入って。ババァはお断り」
「言われなくても入るか!どさくさに紛れて逃げんな天然パーマ!」
「うるせェェェ!!妖怪に天パの苦しみがわかって堪るかァ!」


始まったか。
玄関で立ち止まっても仕方無いんで、中に入る。


「姐貴!とさくらちゃん!」
「樹だって。・・・まぁいいや」
「あぅ〜」
「さくらちゃん抱っこさせてヨ姐貴!」
「いいよ」


気をつけてねと言いながらいつを神楽ちゃんに渡す。
新ちゃんの姿が見かけないけど、買い物(パシリにされた)かな。
神楽ちゃんはいつを抱きながらぐるぐる回ったり、たかいたかいをしてあげてる(いつ、嬉しそう)


「姐貴、私、力の加減が出来ない時あるから言ってネ。じゃないとさくらちゃん・・・」
「うん、わかってる」
「定春〜!さくらちゃんアルヨ〜!」


立ち上がった定春の上にさくら・・・違った、いつを乗せる神楽ちゃん。
いつは最初少し恐がってたけど、楽しくなったのか、えらいご機嫌だ。
定春は神楽ちゃんに支えられてるいつが乗ったまま、この居間をぐるぐると歩き回ってる。


「あ〜vv」
「さくらちゃんと定春、凄く喜んでいるヨ姐貴!」
「そうね」
「あんチキショーの子供とは思えない可愛さネ。きっと、姐貴の遺伝がほとんどアルな」
「いや、それは無いって。その顔と茶色っぽい髪と質は父親譲りだし」


複雑なのか、神楽ちゃんは複雑な表情をした(そのまんま)
まぁ、二人は宿敵のようなもんだしね。ライバルを越えたっていうか。
バトルが終わったのか、銀さんが戻って来た。


「それにしても急だねェ。あそこには遊べるもんいっぱいだろ?」
「あそこにいると仕事サボる奴が多々出るんで。それに暇だし、散歩がてらに此処へ来たんです」
「そうか。皆メロメロだろ〜、こんな可愛い子がいたら」
「そうですね。アイツ等、誰の子供だと思ってんだか」
ちゃんの子供だから余計にじゃないの?」
「そうですか?」


いつ達の方へ向くと、いつの間にかいつは降ろされていて、定春はいつの匂いを嗅いでいる。
いつはいつで間近にある定春の顔を触ったり軽く叩いたりと遊んでいる(噛まないよね、定春)
そして、定春はいつを囲むかのように丸まって寝てしまった。


「定春、いつの事、子犬かなんかと思ってるのかな」
「だろーな」
「ぁ〜(はいはい)」
「お、どしたチビ」


いつは定春から抜け出して、銀さんのところへ来た(いつがいた場所は代わりに神楽ちゃんが寝ている)
銀さんに抱っこされたいつは銀さんの顔に向けて手を伸ばしている。


「なんだ?銀さんがカッコいいってか?」
「何変な事言ってんですか。もしかして、いつ・・・」


銀さんからいつを抱き上げ、銀さんの頭にいつを乗せる。


「あ〜vv(ぐいぐい)」
「いでででで!ちょ、ハゲる、ハゲるって!」
「どうやら、定春と同じように見られてますね」
「どういう意味だチビィィィ!!俺の頭は天パだから獣だと同じだと言ってるのかァ!」
「うーん、白くてふわふわしてるからじゃないですか?」
「あ、あぅ〜vゃ〜vv」


凄く気に入ってるんだけど、いつ。
このままいつを手だけで抱えてるのは辛いので、銀さんに肩車してもらった。
銀さんの髪を引っ張っては掻き回し、更に頭を叩く始末。


「完璧、いつにとって銀さんの頭は定春ですね」
「チビに懐かれるのは嬉しいんだけど、微妙な気持ち」
「ハーイ、コッチ向いてくださーい」
「うお!?何そのカメラ、いつの間に出したの!ちょ、待って、髪が・・・!」
「元々天パだから大丈夫です。いつー、コッチ向いてー」
「・・・(天パだからって?)」
「まーv」
「ハイ、チーズ」

パシャ

「ぁ〜」
「うん、貴重な写真になりそう」
「どういう意味で」


そういう意味で。
定春に乗ってる写真も撮ったし、銀さんとも撮っておこうかなって。
と、色々してたら神楽ちゃんが起きてしまった。


「あれ、いつの間にか寝てたアル・・・」
「そういえば、神楽ちゃんといつ、同じ誕生日だよね」
「マジでか!!さくらちゃーん!私達、誕生日一緒アルヨ〜!」
「ぅ?あーv」


いつは全く、なんの事かわかってない。


「そういえばそうだった。お前の誕生日祝おうにも、チビが産まれたからってんで忘れてた」
「銀ちゃん酷いアル!・・・なんて、さくらちゃんが私にとってのプレゼントヨ」
「10日が予定日だったんだけど、早く産まれてきちゃったからね、この子」


それよりも凄い事だ。
そりゃ、誕生日が一緒の人なんて日本だけでも沢山の人がいる。
けど、366日ある中、こんな身近に誕生日が一緒の人なんて早々いない。
私の場合、双子だからそれはそれで奇跡のようなもんだし。


「コレからは神楽ちゃんといつ、一緒にお祝いしないと」
「なぅ〜v」






それから皆でいつと遊んでたら、お登勢さんがまた来た。


「んだよ、ババァ。家賃諦めたんじゃねーのかよ」
「今日は諦めたよ。じゃなくて、樹にコレでもあげようかと思って。ほら、アンタの隠し子の」
「だーかーら!アレは隠し子とかじゃないって!」


そういえばあったな、そんなのが前に。
それより、お登勢さんが持って来たおもちゃは新品同様だ。
いつは嬉しいのか、凄く興奮してる。


「あぅあ〜、ば〜vv(がらがら)」
「よーしよーし、樹。お前はこんなチャランポランな男なんかに引っかかっちゃダメだよ」
「なーに言ってんだババァ!チビは俺みたいな男が似合うはず!」
「私、銀さんみたいな人がいつの彼氏だなんてお断りです」
「・・・あれ、目の前が霞んで来た」


いつは大好きなガラガラを振ったり、ブタなのかキリンなのかよくわからんものに乗ったりで大喜び。


「よかったら持って帰んなよ」
「ありがとうございます。でも、家にはアイツ等が買ったものがいっぱいで・・・。なので、此処に置いてていいですか?」
「え、何勝手に言っちゃってんの」
「いいアルヨ!さくらちゃんが来る時、何もなかったら可哀想」
「好きなようにしな。私ゃ、もう必要ないしね」


そう言って、お登勢さんは去っていった。
いつは相変わらず嬉しそうに今度はボールで遊んでいる。


「・・・まぁ、神楽の言う通り、チビが来る時に何もなかったらつまんないもんな」
「キャゥ〜v」









  





微妙なオチ。
銀さんが樹ちゃんにメロメロかどうかは不明(笑)
(2007.5.3)