生きてる、良かった・・・。

・・・そう思ってもいいのに、どうもそう思えない。
凍矢が相手に殺せ、なんて言うから。
なんでそんな事言ったのかは画魔に対する責任なのかなって思ったけど、でも悲しかった。
私は凍矢には生きてて欲しい。なんて言ったら困るかな・・・?


・・・。大丈夫だか?」
「う、うん」
「凍矢が目ぇ覚めたら一発殴ってやっぺ」
「陣、それは・・・」


やらなくていい、て言おうとしたけど、頭を撫でられて、ニカッと笑いながら『んじゃー、行ってくるべ!』って言われて言葉を遮られた。
調子良いなーなんて思いながら、陣は大丈夫、と根拠無いけどそう思えた。
爆さんに投げられて気絶している凍矢を見つめる。
そして、そっとお腹に力を入れずに手を乗せると、服に付いてまだ乾いてない血が私の手にも付いた。
凍矢にこんな事した相手には怒ったような気持ちが持てない(凍矢を投げた爆さんには怒ってるけど)
だって、凍矢を殺さなかったから。なんて、単純かな?
刺されたのを見た時は勿論、こんな落ち着いてないよ。
凍矢、って叫びたかったけど、目の前の光景が衝撃過ぎて声が出せなかった。
すぐに陣が後ろから抱き締められて目を塞いでくれたけど、一度目に入ったものはそう簡単に消えなくて、寧ろ暗闇の中で鮮明に映ってた。
泣く事も忘れて、次に明るくなった私の目に入ったのは、爆さんに持ち上げられた凍矢の姿だった。



試合は楽しそうにやっていた。
変わった人間もいるんだな〜って関心持っちゃったよ。
陣なんて凄いわくわくしている。見ているコッチまで楽しくなっちゃうな。けど、あの人と戦うのは勘弁して欲しいなとも思う。
けど、そんな戦いも終わりに近づいたみたい。
浦飯さんのれいこうだん?が陣のお腹にヒットして、陣は観客席に飛んでいってしまった。
陣も凄い攻撃受けたけど、凍矢みたいに悲しくならない。
それは多分、陣は生きてくれるって思うから、かな。
さっきまで悲しい気持ちだったのに、今じゃそれが無くなってきてる。




「・・・う・・・っ」
「!凍矢・・・?」


隣から呻き声が聞こえて、そちらの方を向く。
やっぱり気が付いたみたいで、お腹を押さえながらゆっくりと凍矢が体を起こした。


・・・」
「良かった・・・、凍矢」


思わず抱き付きそうになったけど、怪我してるというのと、恥ずかしいので堪えた(後者のは今更な気がするけど・・・)
兎も角、凍矢が起きた事が嬉しくて、顔が綻んでしまう。
痛いのか、顔を歪ませながら凍矢は聞いてきた。


「試合はどうなっている?」
「爆さんがあの人にやられて、次に陣が戦ったんだけど・・・、あっちに飛ばされちゃった。あ、凍矢に勝った人は爆さんの試合で負けたよ」


砂埃がもうもうと出ている箇所を指差しながら凍矢にこれまでの事を説明する。
それに凍矢はそうか、と答えた。

そうしているうちに陣が場外10カウントで負けになってしまった。
観客席から文句と物が飛んでくる。
そんなにあの人達嫌われてるの?人間だから?私はそうでもないんだけど・・・。
すると、後ろの方で吏将さんが誰かと話していたのが見えた(誰なんだろう、あの人)
次は吏将さんが浦飯さんと戦うんだ。
でも、吏将さんが浦飯さんに『私に指一本触れずにお前は負ける』と言った。
どういう意味なのかな・・・?

試合が始まったのと同時にストップが入った。
いきなりの事で吏将さんに向かって走っていった浦飯さんがこけて、頭を打ってしまう。
そのストップは大会本部からで、浦飯さんと陣の試合で、小兎さんのカウントの取り方が遅かったから話し合った結果、引き分けになったと言うのだ(遅かったか・・・な?)

えっと確か、この試合自体は勝ち抜き戦でやってたんだよね?
で、どういう訳かあのテントの中の二人はあそこから出れないらしくて、壁には大怪我している人が座り込んでとても戦える状態じゃない。
残る二人は今引き分けになったと言われた浦飯さんと、凍矢に勝った蔵馬さんていう人。でも蔵馬さんは爆さんの試合で負けている。
つまり・・・?


「あっちの人達は出れる人が誰もいないって事・・・?」


そう呟いた時、観客席から『奴等の負けか!』と喜びにも似たような声が上がった。
小兎さんが納得出来ない、と本部に向かって抗議するも、本部は裁定を覆す事はない、て。


「り・・・、吏将!」
「あ、凍矢!」


不意に凍矢が立ち上がって、ふらふらとした足取りで前に進み、吏将さんに抗議する。
私もこんな勝ち方・・・嫌。
でも、凍矢の訴えは吏将さんには伝わらなかったみたい。
吏将さんが小兎さんに詰め寄ったところで浦飯さんが間に入った。
後ろでテントの中にいる男の人が凄い妖気を発しながら、臨戦態勢を取っていた。
そして、小兎さんがうちのチームの勝利を宣言しようとした時、


「待ったぁー!!」


会場中に響くくらいの大声でそれは遮られてしまった。













原作沿いを意識してるようなそうでもないような感じで話を進めてます。
子供っぽく書けてるかが不安。
(2013.11.5)