ピピー、ピピー、ピ、ガチャ
第二話:生
久々に霊界通信機を使ってみた。
『おー、、久しぶりだな』
「糸目で答えるなドアホ」
『なんだ、その口の利き方は』
「そんな事より、浦飯幽助っていう奴の死は予定外だったんじゃないの?この間、ぼたんと一緒に浮いてたよ」
『む、浦飯幽助を知っているのか?』
「知り合いだから確かめているんでしょーが」
『それもそうだな。確かに、奴の死は霊界にとっては予定外だ』
「数百年前もあったよね、確か」
『そうらしいな。・・・ん?、お前一体いくつだ』
「正確な歳はわからんが、アンタの2倍ぐらい生きてる(=おおよそ1400歳)」
『そ、そうか』
え、私は普通の人間じゃないっていうか、人間でもありませんよ?
訳あって人間界で人間のフリして暮らしているだけ。
300年ぐらい前からかな、人間のフリして暮らしているのは。
いやー、長い事人間界にいると人間ってば、色々成長していくから面白くて遂、みたいな感じで300年も暮らしている訳だが。
「ていうか、昨日おぞましい夢見たんだけど、アンタの仕業でしょ」
『ありゃ、バレた?』
「バレた?じゃねーよ、このドアホゥ!」
『という事で、生命エネルギーを口移しで移さないと幽助は生き返れないからな、頼んだぞ』
「頼んだも何も、私人間じゃないから出来ないっつーの!」
『あ、そっか。ははは、失敗失敗』
「てんめー・・・」
とりあえず、螢子に知らせないと。只の夢だと思っているだろうし。
「おっちゃん、おばちゃん。螢子いる?」
「おー、ちゃん、久しぶりだなぁ」
「ほんとねぇ。螢子なら朝早くから出て行ったわよ」
「あれま。ところで、おばちゃん。顔色悪いけど大丈夫?」
「平気よ、只の風邪だから」
なーんだ。螢子もう行っちゃったのかぁ。
仕方ない、学校で言うか・・・って、遅刻ー!!
+
「雪村はいるか」
「はい」
「すぐに来なさい。お母さんが倒れたそうだ」
「え・・・」
え、やっぱり調子悪かったんだ・・・って、これじゃぁ螢子に夢の事言えないじゃない。
ん〜、学校終わってから病院に言って伝える事は出来るけど、その時螢子は、それどころじゃなくなってるだろうし。
確か、桑原君にも夢枕で伝えたとかコエンマ言ってたけど、今日休んじゃってるし・・・。
温子さんもきっと徹夜で飲んでるだろうからあてにはならない・・・。
あ〜、どうしたらいいんだろう。
螢子が気付いてくれたらいいんだけど・・・。
その後、私は幽助のマンションのベランダに降り、様子を見る事にした。
コエンマ達は玄関側にいたから、私は此処に隠れているのだけども。
12時まであと10分・・・。
螢子・・・。
バタンッ!
螢子!?
やった、螢子、気付い・・・って、もう時間が・・・。
幽助の体の光も消え始めている。
「幽助!」
窓の向こうの螢子の声と私の声が重なった。
幽助、お願い、戻って・・・。
螢子も私もアンタが生きて帰ってくるの、待ってたんだから。
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一応、飛影寄りなんで、サクサクと話は飛びます。
(2009.4.10)