普段なら聞いても赤の他人だからなんとも思わない事故のニュース。
だが、今回の被害者は私の幼馴染で、しかも死んでしまったって。
そんな事実、誰も信じない。けど、事実なんだ。
第一話:死
私、。中学2年。極普通の女の子・・・だといいんだけど。
どうも私は普通の女の子≠謔闖沂Cらしい。かなり。
「アンタねぇ!今からタバコ吸ってると将来、体壊すよ!」
「るせーな。もう依存症だっつの」
「もっと性質悪いわ!」
屋上で煙草吹かしてる奴に向かって一喝。だが、相手には効果無し。
普通は不良相手に此処まで言わないんだそうだ。
コレもコイツと幼馴染だという所以か。
浦飯幽助。
小学1年からずっと同じクラスで、いい加減クラス分かれろよとも思ってしまう。
なんやかんやで8年もコイツに付き合ってる。あ、いや、そういう意味ではなくてだ。
小学生の時からやんちゃだったけど、最近はまぁ、喧嘩するわ煙草吸うわ酒飲むわ頭リーゼントにするわで。
わし
「相変わらずちっせー胸」
ゴッ!
「余計なお世話だボケ!いっぺん死んでこい!」
「ひょひょひょ」
・・・小学生の頃からスケベだったけど、最近は拍車かかってるし。
中2から男はスケベになるとは言うけども、アイツは元よりスケベだからより一層・・・。
「幽助、アンタたまには授業に出なさいよ。螢子と先生にまたどやされるよ」
「気が向いたらな」
コッチには振り向かず、手だけひらひらと振りながら去っていく幽助。
あーこりゃ、またサボって正門あたりで竹中先生の拳骨食らうな。
ふぅと溜息吐くと、遠くの方でチャイムが鳴る音が聞こえたので、慌てて教室に戻る。
始業時間より4分程遅れて来たが、先生もまだなようだったので運が良かった。
ま、時間ピッタリに来る先生と言えば竹中先生ぐらいだけどね。
「螢子、幽助は?」
「私が知る訳ないじゃない(ムス)」
幽助の名前だして不機嫌って事は、スカート捲られたかなんかされたな。いつの間にしたんだ、アイツは。
足と手だけは早いからな、アイツは。忍者かと。
雪村螢子。
この子も幽助と同様、私の幼馴染。
幽助との付き合いは彼女の方が長い。幼稚園の頃かららしい。
幽助とは全く逆で、真面目で成績優秀、そして友達が多い(人望が厚いとも言える)
螢子の方がエッチな被害多いかも、多分。
+
「ッ・・・、ゆ、ゆう・・・幽助が・・・!」
家に帰って今から特売やっているという、隣町のスーパーに出向こうかと思ったら、螢子から電話がかかってきた。
出てみれば、螢子はかなり動揺していて、泣いてるみたいで。
「何、どうしたの。また幽助が病院送りで今度は重症とか?」
「違うの・・・。幽助が、」
事故に遭って、死んじゃった≠フ・・・。
「え・・・」
思いもよらなかった言葉に持ってた受話器を落としそうになった。
「えー・・・と、心臓に悪い冗談はよそうよ」
「冗談で言う訳ないじゃない!」
いやだって、さっきまで人の胸鷲掴みして殴られてもピンピンしてたじゃない。
数時間前まで煙草吸ってたのを叱ったばっかじゃない。
ほら、螢子だってさっきスカート捲られてたじゃない。
それに、どんな怪我したって数ヶ月かかったって完治してたじゃん。
そんな奴がたかだか事故で死ぬ・・・死ぬ訳、
気が付けば、頭真っ白になりながらも幽助の家に向かっていた。
+
チーン
幽助の家に行ってみれば、人だかりが出来ていた。
玄関に駆け込むと、憎たらしい顔で写っている写真・・・遺影が目に留まった。
靴を脱ぎ散らかし、気力の抜けた体でそこまで移動すると、線香が香った。
その横にあるのは死体が入ってあるであろう、棺桶が。
ふと、温子さんに目を移すと、彼女も事実を受け止めれないのか、ボーっと座り込んでしまっている。
暫くすると桑原とか言う人が乗り込んで来たり、竹中先生が来たり、幽助が助けたという子供とその親が来たり。
温子さんと螢子はすっかり泣き崩れてしまって、見ていて私も変な気持ちになった。
・・・幽助の死は霊界にとっても予測されていたのだろうかと思って、空を仰いでみたら、
幽助とぼたんがいた。
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ヒロインは普通の子ではありません。
(2009.4.10)