「明日非番の人ー」
「あ、俺」
「・・・・・」
「・・・なんだよ。なんだよ、その嫌そうな目は」
「誰かー!コレ働かせてもいいから、私と一緒に出掛けようよー!」
「そんなに嫌か!?そんな必死になってまで嫌なのか!?」
第六訓:美味いもん食わしときゃ、子供は普通に育つんだよ
翌日
「なんでタイミング悪く・・・いや、タイミング悪く非番が重なるんでしょうねー」
「言い直した意味が全くねェ」
お出掛けお出掛け、楽しいな♪・・・楽しくねェよ。
相手が土方さんだもん。なんでこの人と私の非番、いつも重なるかなー(最近、退と全く重なってない)
何故土方さんと出掛けているかというと、私の持っているこのチケットに関係あり。
なんかー、こないだノリに任してひったくり捕まえたらお礼っつってくれたんだよね、コレ。しかも2枚。
そのチケットはライブのチケット。
「第一、一体何処に行くんだ。買い物なら付き合わねーぞ、俺ァ」
「私が男連れて買い物に行くキャラに見えますか。じゃなくて、ライブです。チケット2枚もくれちゃって」
「誰のだ?まさか反侍じゃねーだろうな」
「あんなチャラい集団、私には興味皆無なんで。ほら、今人気沸騰中の寺門通ことお通ちゃんです」
そう、このチケットは寺門通のライブのチケット。
誰にも言っていないが、私とこの寺門通は知り合いだ。
故に私は『お通ちゃん』じゃなく『つっちゃん』と呼んでいる(どうでもいい)
+
で、来たのはいいが・・・、
「楽しんでいってねクロマンサー!」
『ネクロマンサー!!』
「じゃぁ、元気に1曲目行ってみよう怪皿屋敷!!」
『妖怪皿屋敷ィ!!』
「・・・オイ、なんだコレは」
「私が聞きたいです」
観客のありえないテンションについていけない私達は只、立ち竦んでいる事しか出来なかった。
・・・どう道を踏み間違えたのかなァ、あの子。
「ほとんど宗教じみてんじゃねーか」
「つか臭い。特に隣から加齢臭が(じー)」
「・・・(ガーン)」
「・・・ウソウソ!すいません、ウソ吐きました!!」
マジで落ち込んだから、コッチが必死になってしまった。
いや、まさか気にしてるとは思いませんもん。そんな、近藤さんじゃないんだから。
『L・O・V・E・お・つ・う!!』
「もっと大きい声で!」
・・・ん?
あれ、なんかやけに聞き覚えのある声が・・・。
声のした方を振り向くとそこにはまぁ、漫画みたいな光景が。
「オイそこ何ボケッとしてんだ!声張れェェェ!!」
「すんません隊長ォォォォ!!」
「ちょっとちょっと。いつから隊長になったのアンタは」
「俺は生まれた時からお通ちゃん親衛隊隊長・・・って、ギャァァァ!!」
本当に漫画みたいに知り合いが・・・というか弟がこんなところにいた。
しかも、寺門通親衛隊隊長として。
「姉上ェェェェェ!!何故此処に!」
「コッチが聞きたいわ。アンタ、こんなところでこんな事して・・・。天国の父上、母上になんて謝ればいいの」
「俺が何しようと勝手だろ!ガキじゃねーんだよ!」
「え、何、反抗期?ちょっと土方さん。弟が反抗期なんですけど、どうしましょ」
「お前の育て方が悪いんだろ」
「ちょいと。亡き父上の後、新ちゃんを育てたのは妙なんですけど。妙を責めるべきですか?」
「テメーの少ねェ仕送りで借金返せるかボケェェ!!どんだけデンジャラスな世渡りしたと思ってんだァァァァ!」
「あんだとテメェェェェ!!姉ちゃんなりに頑張ったんだよ!少ねェとはなんだコラァァァァァァ!!」
「少ねェもんは少ねェんだよクソ姉がァァァ!!」
「大体、あんな莫大な借金、私等が払える訳ないだろボケェ!レジも碌に打てん、役立たずのダメガネがァァ!」
言いたい放題な新ちゃんを殴る殴る殺す(!?)
結局、土方さんが止めるまで殴ってました(笑)
「隊長ォォォォォ!!」
「てめっ!何ばすっとねんクソアマァァァァ!!」
「あ〜?文句あんのかコラ」
『すいませんでしたお姉さん!!』
「はぁー。3年前までは純粋に育ってた筈の弟があんな事になってたとは・・・」
「あの時期は3ヶ月見なくても急激に成長するもんだ、男は」
「それってどういう意味です?新ちゃんは結婚するにはまだ早いです!」
「飛躍しすぎだろ。それはこの先ずっと無さそうだから大丈夫だろ」
「あれ?めっちゃ失礼な事言ってません?貴方もこの先無さそうですけどね」
「どういう意味だ」
+
後日
ピリリリッ!、ピッ
「ハイ」
『聞いてよ、!』
「まず確認しようね、つっちゃん。何、どしたの」
退のシャツのボタンを縫い付けていると、つっちゃんから電話がかかってきた。
『ぐすっ、・・・また振られちゃったよ・・・』
「振られ?GOEMONに?というかアンタ、前のはホモだったんでしょ?」
『私の事、遊びとしてしか付き合ってなかったって・・・、わぁーん!!』
「あ〜、そっかァ。だから言ったじゃん。軽そうな男はやめときなって、昔から」
『だって、優しくしてくれたんだもん・・・』
「一途に想うのもいいけどねェ、やっぱり疑いはしないと。そうじゃなきゃ今の世界やってけないよ」
反面、羨ましいけどね。一途に想える事が出来るって。
私も好きな人が出来たら一途に想いたい。
『・・・あ、私を護ってくれた人はちょっと素敵だった』
「へぇ、護ってくれたんだ。どんな人?」
『私の親衛隊の隊長さん。メガネかけてて・・・確か、新二君だっけ・・・アレ?』
それって・・・、
「新八ね。その子、私の弟だから」
『え!そうなの!?』
「うん。あの子は大丈夫よ〜。なんというか、あの子も恋を知らない、純粋な子だから(一部を除いて)」
『そっか、弟さんだったんだ・・・。道理で似てると思ったよ』
「似てる?何処が?・・・顔?」
『ううん、顔もあるけど・・・護り方が似てるっていうのかな・・・。雰囲気が似てる』
「ふーん・・・」
昔から似てないって言われてたのに。
だから、今言われた事が凄く嬉しいな。姉弟だからか。
「頑張ってよ、今度は。いい男性(ひと)見つけて、いい恋しなよ」
『うん、ありがとう。に励まされると元気出るよ、私』
「嬉しい事言ってくれるねェ」
『ね、ね、は?は好きな人いないの?』
「・・・別に、いないけど」
『ふーん』
なんだろう、何処かでひっかかる。
『じゃ、。仕事頑張ってね』
「そっちこそ。じゃ、また今度」
『うん、バイバイ』
「バイバイ」
ピッ
携帯を閉じ、ボタンの縫い付けの続きをする。
予備のシャツ、全部洗いに出してるって言ってたから早くしないと。
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2巻ネタも入れたかったんで。因みに熱愛発覚前のライブの設定です(どうでもいい)
(2007.3.13)