「え、コレが若?・・・かわいい(ぽっ)」
凍矢の頭の上に乗っている小鬼(若)に手を伸ばしたら噛まれた。
「え、何、中身は変わんないの?」
「変わって堪るか」
「アンタ、女が放っとけない2つの姿持ってるのに、性格で損してるよね」
「大きなお世話だ」
「人の頭の上で何やってるんだ、お前等は」
そっからというものの、ちっこい若に触りたくて触ろうとしても、噛まれたり、ひっかかれたりと、小競り合いが続いた。
かなり警戒されてるんだけど、私(あと、ちょっと興奮気味だよ、若)
「その姿になると更に短気になるの、アンタ」
「なんだと」
「もう降りろ、お前」
凍矢はそう言うなり、若の襟ぐりを掴み、私に放り投げた。
突然投げられたものを慌てて受け止める。
扱いに腹が立ったのか、更に興奮状態になってしまった若。
「どうどうどう、落ち着いて落ち着いて」
「落ち着いていられるか!」
「人の頭の上に乗って、足代わりにしている奴の方が扱いが荒いだろ」
「まぁまぁまぁ」
「貴様は細かい事をぐちぐちと」
「まま、ままま。てか、若、頭上るな」
「大体だな、お前は前から自分勝手過ぎるぞ」
「ちょっとちょっと」
「貴様は器が小さい」
「オイコラ、聞いてんのか、コラ」
「お前は、」
「貴様は、」
「・・・(パチンッ)」
ドォン!!
「「!」」
「話聞けって言ってんだけど。・・・殺っちゃうよ♪」
壁を軽く爆破させて二人を黙らす(空気が乾燥してるから発火しやすいわぁ)
頭に血が上ってたのが、一気に冷めたみたい。2人して顔が青ざめている(情けない)
「アンタ等二人ともぐちぐちぐちぐちと、それでも男か」
「お前が女かどうかも疑問だがな」
「(むんず)床に叩き付けたろか、貴様」
「ケッ」
バシッ!
「ッ!!〜っ・・・、本当にやるか!」
「有言実行。つか、こちとらな、床に叩き付けられたり、壁に押し付けられたりなんて日常茶飯事なんだよ」
「・・・お前、自分の女にそんな事する奴だったのか」
「するか!」
そうだよ、凍矢にじゃないよ、飛影にだよ。
凍矢は言葉は冷たいけど、優しいの。飛影は言葉も態度も髪もツンケンしてるけど。しかも、容赦ないし。
とか考えていると、若が美男子モードに変化した。
「あれ、ちっこくてかわいい若は?」
「(叩き付けておきながら・・・)また投げられるのはゴメンだからな」
そう言って、立ち去ろうとする若。
「そいつにでも女らしくしてもらえ(どんっ)」
は、という間に押された私の背中。
考える間も無く、前にいた凍矢と一緒に倒れてしまった。
凍矢ならこの程度のものはよけれるのに、よけようとしなかったのは、私が床に激突すると思ったからだと思う。
そんなの、私でも受身ぐらいはとれるのに、それも凍矢はわかってるはずなのに、あえてそうしないんだ、凍矢は。
ほら、やっぱり優しい。
背中に走った痛みを堪えながらも、大丈夫か、と聞いてくるしね。
凍矢が守ってくれたから大丈夫なのにね。
てか、あれ、か、顔が近い(やばいってやばいってやばいって)
「うん、大丈夫(つか、押した張本人は何処行きやがった)」
「そうか」
ほっとしたような表情で、凍矢は体勢を直す。
綺麗で整った顔が離れてほっとしたような、残念なような。
「そういえば、若が言ってた、凍矢に女らしくしてもらえってなんだろーね」
「・・・・・」
「あ、凍矢知ってるんでしょ!」
「・・・さぁな」
「その様子だと絶対知ってるな!ねー、どういう事?」
「っ、菓子でも持ってくるから待ってろ」
「わーい」
あれ、はぐらかされた?
「・・・・・」
「思った以上に奥手なんだな」
「煩い。それと、にいらん事言うな」
「本人はわかってないみたいだからいいだろう、別に」
「いい訳あるか」
「器だけじゃなく、度胸も小さいのか。幾度と無く機会はあっただろうに」
「・・・放っといてくれ」
部屋で留守中のは、そんなやりとりがあった事など露知らず、凍矢の帰りを待っていた。
ちっこい若ってかわいいよね、っていうのを書きたかったんです。
最近、ちょっと凍矢が攻めモードになってきたので、原点である奥手モードに戻してみました。
(2010.5.16)
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