誰よりもわかってるつもりだった。でも、わからなかった。
知っていて、案外知らない存在。イコール幼馴染。
俺達は互いを知り過ぎて、でも、肝心なところは知らない存在。
まぁ、他の男が知らない事を俺が知ってるのは、それはそれでいいのかもしれない。
でもね、知らない方が世の中いいもんだよ。
何もかも知らない、相手を真っ白な布みたいなものに例えて、少しずつ知っていくうちに染まる方がいい。
俺の場合は彼女の好物、趣味、特技などを色々知っている。つまり、彼女は俺の頭の中では知っている色に既に染め上げている。
唯、知らないのは彼女の好きな人。勿論、異性に対して。
「、電子辞書貸して」
「買ってこい、いい加減」
「いや、が持ってるからいいや別にって」
「もう貸さね、お前には」
「あ、酷い」
そういう君は結局、俺に貸してくれるよね。ぶつぶつ悪態吐きながら
。俺の好きな人で幼馴染。
ねぇ、知ってる?俺、実は電子辞書とかとっくに持ってたんだ。
でも、となんかちょっとした事でも話したいから。自然と話せなくなるなんて嫌だから。
、どうしよう。俺、頑張ってと同じ高校に入ったのに、その高校生活も終わっちゃうよ。
何処に行っちゃうの?。
「退ってさ、好きな人とかいんの?」
「こそいんの?」
「退って言ったらどうする?」
「って言ったらどうする?」
木霊みたいに同じ質問を繰り返す俺達。
なんでそんな事聞いてくるの、なんでそんな事言っちゃうの。
ねぇ、どうしよう、。
頭と目と心が痛すぎて倒れそうだよ、。