所詮、自称に過ぎないんだ。
傍にいるのに辛いだなんてもう、オーソドックスな言葉。
陳腐な言葉なのに、受けているコッチは痛くて、哀しくて、淋しくてしょうがない。
幼馴染の恋が実らないなんて当たり前の事(私と相手のお母さん同士仲が良い)
誰よりも知っていて、誰よりも遠い存在、幼馴染。
彼の事が好き仲間の中で私だけ彼の事を知っているので、それはそれで優越感たっぷりだ。
でも、私だけが彼の事を知っている訳ではない。彼も知っているのだ、私の事を。
知っているのにコレ以上どうしろと?何を知っていけと?
・・・多分、彼が、私が知らないところと言えば、
「、電子辞書貸して」
「買ってこい、いい加減」
お互いの好きな人かなぁ。
「いや、が持ってるからいいや別にって」
「もう貸さね、お前には」
「あ、酷い」
ぶつぶつ言いながらも、結局貸す私。そんな事さえ知っている彼。
さんきゅーと言いながら自分の席へ戻って行く。
そういえば、クラス一緒になったのって久し振りだ。
好きな人とか・・・いるのかな。
私は彼を、山崎退っつー男に恋してる。
彼は誰を、もしくは誰も愛していないのかもしれない。わからないが。
「退ってさ、好きな人とかいんの?」
「こそいんの?」
「退って言ったらどうする?」
「って言ったらどうする?」
木霊みたいに同じ質問を繰り返す私達。
答えになってねェよだの冗談だろだの色々言い合っているうちにこの話はおしまい。
なんでそこで質問返ししてくるかな。私が聞いてるのに。
てゆかさ、やめてよ、その冗談。
私の事なんて眼中に無いみたいな言い方、やめてよ。