ねぇ、死は無≠チて言うけど、それって、どんな世界?
絶望なほどの黒い世界か、白い世界なのかな?
9 最期に、ひとつだけ
「ッ!」
「ぎ、・・・」
「喋んな!今すぐ、手当て――― 」
銀の口を指で塞ぐ。
だって、もうダメなんだもん。
「い、よ、銀・・・もぅ、ダメ・・・だか、」
「ダメな訳ねェだろ!諦めんな!今まで美しく生きてたくせに、此処で汚く死ぬのかよ!」
「・・・それ・・・が戦争、でしょ・・・?」
「・・・・・」
銀は言葉を詰まらせた。
だって、戦争に美しいも何もないじゃない。醜く、汚いだけじゃない。
そう訴えたいのかをわかったのか、銀は言葉を詰まらせてしまった。
銀。そりゃぁ、私だって、最期は綺麗に散りたいよ。最期まで美しく生きたいよ。
でも、もう無理なんだ。こんな、醜い気持ちに支配された私に美しく≠ネんて出来ない。
「ぎ・・・ん。私、ね・・・」
「喋んな」
「わた、・・・さ」
「喋んな」
「が、ばって・・・生きた、ょね・・・?」
「喋んなっつってんだろ!黙れよテメェ!!」
銀の怒声が耳に痛いほど響く。
わかってる、わかってるよ、銀。でも、私は喋りたいんだ。私の命は私のもの、だもん。
けど、こんな場面で言いたくないなぁ。
ほら、映画みたいにさ、眩しい太陽の下で告白、なんて青春っぽいのやりたいんだよね、私。
相手から『OK』っていう返事もらってさ、付き合うの。手とか繋いで、キスだってしたい。
そんな三流映画みたいな恋、したかったの。私がヒロインで、銀がヒーロー。
ふふ、おかしいでしょ?笑っちゃうでしょ?でも、それが楽しそうで楽しそうで仕方ないの。
だから、こんな血生臭いところでは言いたくないんだよ?私。
だって、此処で言っちゃっても、返事聞けるかわからないじゃない。手を繋いだり、キスも出来ないじゃない。死が限りなく近いから。
いや、生き残っても、銀と付き合えないこもしれないけどね。寧ろ、そっちの方が可能性的には高い(ガーン)
「銀、眠くな、てき・・・よ」
「・・・から、」
「ねぇ、寝、て・・・いぃ、よね?いいよね・・・?」
「・・・のむから、・・・いだから、」
「銀・・・」
「頼むから、お願いだから、眠んなよ!喋んなよ・・・ッ!!」
アレ、泣いてくれるの?
ねぇ、どうせなら笑ってよ。こんなところでくたばるなんてバカだなァ、って笑ってよ。
そうしたら、私は眠れるのに、未練が残るじゃない。
泣かないでよ、泣かないでよ。
最期に言わせて。
「銀・・・笑って・・・?」