痛い、よ。
7 本当は大声で、泣き叫びたかった
いい加減、喉と目が痛くなってきた。上手く喋れなくなってしまった。
銀は未だ、あたふたしている、慌ててる。
私を泣き止まそうと、必死で言葉を並べてくれる。
ゴメンね、銀。泣き止めそうもないんだ、まだ。あぁ、大丈夫だよ。そのうち、落ち着くから。
だから、傍にいて、声を聞かせて。めんどくさくなって、向こうに行かないで、お願い。
どうしたんだって聞いてくる銀に、私は上手く喋れないため、返事できない。
ボタボタと、涙が地面に落ちる。
嗚咽をあげながらも、私は体の水分が全部なくなってしまうんじゃないのかと、変な心配をしていた。
嗚呼、早く泣き止まないと、銀がいなくなってしまう。めんどくさい女だと思われてしまう。
そう思っているのに、私は全然、泣きやまない。
何で、何でと思っていたら、温かいものに包まれた。銀の体温、だ。ずっと感じてきた、体温。
「・・・ゴメンな」
「、んで・・・ぎ、が謝・・・るの」
「だってよォ、俺が泣かしたみたいじゃねェか。いきなり泣き出したから」
「違う、て言って・・・でしょ」
「じゃあ、何でだよ。何で、お前は泣いてんの?」
「・・・・・」
言いたい事があるのに、言えない、上手く喋れない。
そんな私を察してくれたのか、銀は大きな手で優しく撫でてくれる。
何度も頭の上で往復しながら、撫でてくれる。
私は唸って、銀の体を抱き締める。
鼻水と咳が出てしまう。ヤダなァ、こんな顔、見られたくないなァ。
「うー・・・あ゛ぁ〜・・・」
「お、落ち着いてきたな」
とりあえず、涙は止まったみたいだ。
でも、もうちょっと泣きたかったなんて、銀は怒るかな。
「・・・・・」
「・・・・・」
微妙な沈黙が流れる。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・ねぇ、銀。もし、私が銀の事、好きって言ったらどうする?」
「んー?いや、ありえねェだろ?」
『ありえねェだろ』
銀の言葉が頭の中でリピートしている。
あぁ、そっか。銀にとって、私は仲間以外、なんとも思ってないんだね。今更だけど。
今更だからか、余計に悲しくなる。けど、涙は出なかった。
「・・・そうだねー。ありえないね、アハハ」
「だろ?だから、んな事、軽はずみで言うなって」
「ハイハイ、わかりましたー」
明るく笑ってみせる。
「明日も戦だね。よーしッ、気合入れてこー!」
「オー」
「うわ、棒読みー」
笑う笑う笑う笑う。
でもね、銀。私、本当は大声で泣き叫びたいくらい、哀しいんだよ。