たとえば、私が子供だったら、知らなかっただろうか。



たとえば、もっと早く終わってたなら、ば。



たとえば、天人が突然、来なかったら、こんな事にはならなかったのだろうか。







1 本当にくだらなくて本当に切ない、たとえばの話





戦争なんてくだらない。

そんな事、戦に出る前から思ってた事なんだけど、実際、私は参加している。

松陽先生の授業を受けてた時が一番、楽しかった。

松陽先生に教えてもらった剣術、戦になど使いたくなかった。ましてや、天人に向けて。







いくら斬っても斬っても斬っても、キリが無い。

寧ろ、斬ってるのが天人じゃなくて、私達、人間じゃないのかと錯覚してしまう。

けど、今、斬ったのは紛れも無く異人、天人だ。

コイツ等がこんな姿であってくれてるから、ありがたい。

次々と天人に殺られている仲間を私達、生き残った連中は踏み台にしてしまっている。

もう死んでいるんだもん。躊躇わないって、決めたの。

だって、いちいち構ってたら、皆の足手纏いになっちゃう。そして、自分が一番、危険。だから、躊躇わない。

そう、それが私の兄でも。















ねぇ、何がいけなかったの。

始まりは皆、おんなじだった。

なのに、何で皆は刀を取り、それぞれの隊を率いる?

何故、私の兄が殺されなきゃいけない。

戦の真っ只中、そんな事を思う事は愚かで、そして、返事など返って来る訳、無いのだ。



たとえば、私が皆と会っていなかった、ら、