「おじちゃ〜ん」
「おー、どうしたのちゃん。随分長い間・・・、何それェェェェ!!」
「子供産まれたからおじちゃんにも知らせておこうかって」
「ぁ〜」
「え、びっくりしたんだけど。何、今時の娘って戦国乱世並の乱れ?」
「うるっせーな。いつ(樹)の前でんな事言うなや」
「いや、君の口の悪さも赤ん坊に悪影響が・・・。って、いつって名前なの?いつちゃん?」
「樹(いつき)だからいつ」
「なるほど。樹ちゃーん、べろべろばぁ」
「・・・・・」
「(あれ、反応なし?)」
「へっ、赤ん坊にも相手にされないなんてマダオそのものだな。じゃーな」
スタスタスタ
「・・・なんか悲しくなっちゃったな」
第八話:結婚しても子供がいても性格は変わらないもんで
相変わらず公園で煙草吹かしてたマダオにいつを紹介した。
あの人、まだあんなんだから奥さん帰って来ないんだよ。
「いつ、お買い物行こうか」
「あ〜v」
退に買ってもらったベビーカーにいつを乗せる。
なんか皆、いつにメロメロだから色んなもの買ってくれる。中には言っちゃ悪いけど、どーでもいいものまで。
いいのかな、なんて思いつつもちゃっかり受け取ってる私も私だな。
大江戸スーパーに入り、今日のおかずを買う(今日は酢豚)
ちょっと本が売っているところに来ると、いつが何か気付いたのか、指差してる。
「ぁ、あ!」
「どーしたのいつ?・・・ん?」
あ、あの制服・・・と後姿は、
「土方さん?」
「(ビクッ!)」
なんだ今の反応?
それっきり反応しないので、横に回って様子を伺う。
・・・凄いもんを見てしまった。
「・・・ぶっ」
「な〜v」
噴出すのは堪えきれなかったが、出来るだけ大笑いしないように抑える。
いや、だって、あの土方さんが、鬼の副長が、
「ぶはっ!くく・・・ッ」
「・・・思いっきり笑われるより腹立つな、その笑い方」
「ぶっ、あははははははっ!!」
「・・・(ホント腹立つわ、コイツ)」
ひ、ひ、土方さんがぴよぴよクラブ読んでるーっ!
あの鬼の副長と知られる方がぴよぴよクラブ・・・!
うわー、すげーギャップだよ。無愛想な顔してぴよぴよクラブ・・・。
「ひー、ひー・・・!アンタ、何してんですか(プクク)」
「うるせーよ。2階に買いもんしに行った山崎待ってんだよ」
「だから何でぴよぴよクラブなんですか(ギャハハハ!)・・・はっ、まさか隠し子が!?キャーッ、不潔がいるー!」
「いるかァ!樹の前でんな発言すんな!」
「あ、ま〜v」
「今のは『ひじかたしね』です」
「明らかに違うだろ!」
ま、それはさておき。
ふーん、今日は土方さんと退はこの辺の見廻りなんだ。
それより、ぴよぴよクラブ読むのはいいけど(大爆笑もんだけどね!)、制服で立ち読みしない方がいいよ、土方さん。
別に気にならないってならいいけどね、私ゃ。
土方さんがいつに微妙なあやし方(見てるコッチが微妙な心境になる・・・)をしてる時、退が戻って来た。
「副長ー、戻りましたー。あ、ちゃんと樹ちゃ〜んv」
「ゃ〜v」
キモッ!(その声で私の名前呼ばなかったからまだいいけど)
退は微妙なあやし方をしてた土方さんを蹴り飛ばして(!!)いつの前にしゃがんだ。
「山崎テメッ・・・」
「樹ちゃんダメだよ〜、無愛想なおっさんの相手してちゃ」
「(後でしばく)」
今おっさんって言っちゃったよね(いつの間にそんな度胸付くようになったの、退は)
なんだ?メロメロパワーで度胸付いたのか?・・・いや、ないない。
「退、なんか買ったの?」
「あー、そうそう。コレ、樹ちゃんに(ガサ)」
「お、何それ毬?良かったね〜、いつ」
「あーv」
「『ありがとう』ってさ」
「どういたしまして〜v(メロメロ〜)」
将来、親バカになりそうだ、コイツ。
いつは貰った毬を持って凄く嬉しそう。
「もー、樹ちゃん可愛いね。沖田さんも親バカにならない?」
「お前がバカ」
「・・・樹ちゃんもこんな性格になるのかなぁ・・・(はぁ)」
「どういう意味だ?お?」
溜め息まで吐いたしな。一回ヤキ入れるか。
そういえば総悟・・・
「可愛いなー、樹ー」
「あぅ〜v」
「どうしよう。俺、樹に将来彼氏とか出来たら抹殺してるかもしれねェ」
「何処ぞのおっさん思い出すなぁ。遊園地デートをぶっ壊そうとしたおっさんを」
「とっつぁんの気持ち、俺にはわからァ」
「何誇らしくしてんの。端から見ればバカだよ、親バカ」
「じゃぁ、は樹にチャラ男がひっついていいと?」
「チャラ男はダメ(つーか、何故チャラ男限定?)。いつには味のある男じゃないと。でもって玉の輿」
「玉の輿ィ!?」
なんて会話してた時があったなぁ。
親バカもいいけど、子供鬱陶しがられるんじゃ。
うちはそういったの全く無かったから知らないけど(今度、栗子ちゃんに聞いてみよう)
「子供は親の背中見て育つような事にならないようにしないと。ね、副長」
「そうだな」
「オイ、テメー等、ちょっと面貸せ(ボキボキ)」
いつがいても私の性格は変わる事はありません(まる)
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土方さんがぴよぴよクラブを読んだのは樹ちゃんのためです。
(2007.3.13)