「っ・・・、ぁっ・・・」
「・・・なぁ、・・・、」





第一話:一時のテンションに身を任すとやっぱり、





志村、18歳。家族構成は姉、弟。
就職活動も順調で、今のところ何不自由もなく過ごしている。
けど、おかしい。明らかにおかしい。


「・・・こんなに遅れる事、無かったのに」


何が遅れてるってアレだよ、思春期になると始まる女の子の事情。
それが遅れてる、1ヵ月も。
元々、生理不順だったから、1週間2週間別にどって事なかったんだけど、1ヵ月となるとやっぱりおかしい。
それに、アレの前触れも全然無い(腰痛、腹痛、眠気、口内炎などなど)
あ、でも、胸は張ってるんだよな、結構(コレも生理前はこうなる)
そして、やたらと最近、熱っぽい。
・・・明日、熱っぽさが続くようだったら病院行こう。











朝、起きて近藤さんの部屋に向かう。
・・・が、なんかいなかったので、仕方なしに副長の土方さんの元へ(なんでいないんだゴリラ)


「土方さ〜ん。すいません、ちょっと休暇頂けませんか?」
「なんで俺に言うんだ、近藤さんに言え」
「局長が不在でしたゴリ」
「(ゴリ?)なんだ、どうしたんだ?」
「ちょっと熱っぽいんで、病院行ってきます。元気なのは元気なんですが」
「風邪か?珍しい」
「ちょっと。それ、私がバカだとでも言いたいんですか」
「わかってんじゃねェか」


テメーに言われたくねェんだよマヨラー、的な感じを込めて小さく舌打ちした。
すると、土方さんの腕が伸びて、私の額に手を当てた(冷たい)(気持ちいい)


「・・・確かに熱はあるな。1人で大丈夫か?」
「えぇ、不思議と体は軽いんで。ちょっと吐き気はしますが、大丈夫でしょう」
「いや、やっぱり山崎も一緒に」
「いや、いいです」
「じゃ、原田」
「いいっつってんだろーが。過保護かアンタは」
「・・・・・」


何かと付き添いを付けようとした土方さんをなんとか断って、マイ原チャリ『ミニ四駆』に跨る(は、古い?うるせー)
いつの間に買ったんだって誰かが言ってたけど、買ったもんは買った。
因みに名前の由来は只単にミニ四駆が欲しかっただけだ(いつの間にか消えた代物)
原チャリ特有のエンジン音を発しながら、病院へ向かう。





病院に着いた私は保健書を出し、受付の看護師さんから書き込み用紙を渡された。
微熱(熱っぽい)、吐き気。
『その他、何か気になる事があれば』?・・・妙に元気、生理が遅れている、と。

再び受付に戻り、看護師さんに用紙を渡す。
待合室は空いていて、すぐに志村さん、と私の名前が呼ばれた。
診察室に入ろうとしたら、その前に看護師さんに止められ、紙コップを渡され、尿を採ってきてくれと。
え、なんで?学校じゃあるまいし、なんで尿検査?
疑問に思っても、仕方が無いので、厠で言われた通りに尿を採る。

数分後、また私の名前が呼ばれた。
今度こそ診察室に入り、丸椅子に座ると、医者にしてはちょっと若い女の先生が私の顔を見て、


「妊娠、おめでとうございます」


と。
・・・はい?
思考を軽く停止している私に先生はもう一度、『おめでとうございます』


「え、妊娠してんですか?・・・私が?」
「はい」


いやー、今の技術は尿だけでもちゃんとわかるんだねェ。って、違ーう!!
え、私が?・・・誰の子?
・・・そんなの、1人しか思い当たらない。















なぁ、









・・・生でしてもいい、かィ・・・?









っ・・・いい、よ・・・














あの時かーッ!!
なんで避妊しなかったんだろうなんて、後の祭り。アレは、承諾した私が悪い。
あまり嬉しそうじゃない私に先生は『中絶・・・しますか?』と。
中絶。率直に言い換えれば、お腹の赤ちゃんを殺す事。
今まで人を殺めて来た私だけど、私のお腹にいるであろう、総悟との子供であろう子を殺せない。
涙が頬を静かに伝った。


「中絶っ・・・は、したくありません・・・っ」


コレは私の選択に過ぎない。









 





やっちゃったー・・・。
(2007.3.1)