翌日、予報では晴れだった筈の天気が雨になっていた。





第二十一訓:バカの集団





朝から降っている雨は止む様子が見られない。
関わらせた以上、報告せねばいけないと思い、制服姿で万事屋に訪れた私と総悟。
話していくと、新ちゃんと神楽ちゃんの顔が曇っていった。
銀さんは窓の外を見ていて、こちらからは表情が窺えない。


「あ〜、嫌な雨だ。何もこんな日にそんな湿っぽい話、持ち込んでこなくてもいいじゃねーか・・・」
「そいつァ、すまねェ。一応、知らせとかねとと思いましてね」


何でだろう。人を斬る仕事しているのに、何でこんな居心地が悪いんだろう?
否、人を斬っているのが快感かって聞かれたらそれは違う。でも、こんな気持ち、抱かない。
何だろう、護れなかったという焦燥感・・・?


「子供達はコッチで里親探す事にしましたよ」
「情けねェ話ですが、俺達にはそれぐらいしかできねーんでね」
「変なものに巻き込んでしまってすみませんでした。後味悪いですけど、これで依頼完了でいいです。これ以上関わっても何も、碌な事もなさそうですし」


その時、居間の戸が開かれた。
そこから現れたのは、鬼道丸が養ってた子供達。


「貴方達。此処には来ちゃダメだって言ったでしょう?」

「・・・に、兄ちゃん。兄ちゃんに頼めば何でもしてくれるんだよね。何でもしてくれる万事屋なんだよね?」


一人の子供手に持っているのは名刺。恐らく、それは銀さんの名刺なんだろう。
堪えられなかったのか、涙を流しながら「先生の敵を討って」と依頼する子供達。
正直、こんなので受けないだろうなと思ったんだけど、子供達が「僕達にとっては大事な父ちゃん」という言葉に反応して、依頼を受ける形となった。


「酔狂な野郎だとは思っていたが、此処までくるとバカだな」


およ、土方さん、いつの間に。
珍しいな、土方さんが忠告しに来るなんて。しかも、わざわざこんなところまで。
しかし、銀さんは土方さんの忠告なんて聞き入れず、己の美学とやらのためにそのまま行ってしまった。
神楽ちゃんや新ちゃんまで便乗して行ってしまう。
ホント、バカな人達。でも・・・、


「全く、バカな連中ですね」
「本当。こんな物のために命かけるなんて、ね」
「全くだ。俺には理解出来ねぇ、ん?って、お前等何してんだァ!?何処に行くつもりだァァ!!」


総悟は鼻眼鏡をかけ、私は剣玉を持ち、万事屋から去ろうとしていた。
勿論、向かう先は、


「すまねェ・・・、土方さん」
「私達もまた、バカなんです」


向かう先は煉獄関。











「先月はお前、仕事なかっただろーが!」
「じゃあ今月はもらえるネ!」

「・・・な、なんだコイツ等」
「理解出来ません?」


あの人達が暴れている間に私等は幹部であろう男の背を取った。


「今時弔い合戦なんざ、しかも人斬りの為にだぜィ?得るもんなんざ何もねェ。わかってんんだ。わかってんだよ、そんなこたァ」
「でも、此処で動かないと自分が自分じゃなくなってしまう」


こんなマネしてタダで済む?アンタ等のバックに誰がいるのか?
さぁ、バカなもんで、皆目見当付かないや。


「オメー達の後ろに誰がいるかって?」


ただ、確実なのは、


「僕達真選組だよ〜」
「アララ、おっかない人がついてるんだねィ」
「つー訳で、覚悟の程よろしく」


経営者、見学人、出演者関係なくしょっ引いていく。
とりあえず銀さん達も連行で。
しかし、土方さんが皆を呼ぶとはねぇ。











結局、一番捕りたかった大物は逃がしてしまったようで。
下にいた奴等に気を取られ過ぎたかなぁ。


「もし今回の件で真選組に火の粉が振りかかったらテメェ等の所為だ。全員切腹だから」


あら。


「ムリムリ!あんなもん、相当ノリノリの時じゃないと無理だから!」
「心配いりやせんぜ。俺が介錯してあげまさァ。チャイナ。テメーの時は手元が狂うかもしれねーな」
「コイツ絶対私の事好きアルよ、ウゼー」


・・・・・。


「総悟、神楽ちゃんの事・・・」
「?姉上、何か言いました?」
「えっ?ううん、何でもない。・・・何でもないの」
「そうですか・・・」


何だろう、総悟が神楽ちゃんの事を好きなのかなって思ったら胸が苦しく、吐きそうになった。
新ちゃんに話しかけられ、思考が中断したらしたで、今は鼓動が激しく鳴っている。
ナニ、コレ・・・。


「総悟、。言っとくけど、テメー等もな」
「マジでか」
「ちょ、勘弁してくださいよ〜」


コレは気の所為とかでなく、ハッキリと胸が痛かった。
大きく鳴っている鼓動もまだ治まってない。
でも、何でこうなってるかなんてわからない。
もしかして、さっきの乱闘の時に知らない間に斬られている?
そう思って一番痛い胸元を見ても、傷どころか服も切れてないわけで。


「おぅ、どーしたィ。胸元見て悲観的な顔しやがって。そんな落ち込まなくても、の胸が無い事ぐれー皆知ってから」
「あ゛ぁ!?テンメー!!もっぺん言ってみやがれ!」


あれ。叫んだら痛みや苦しみが一瞬で消えた。
何だったんだろう・・・?











  





久っ々に書いたなぁ、夢小説。
前はあっという間に原作に追いついちゃって困ってたのに、今じゃ原作が50巻行っちゃってるから困るよ・・・。←
(2013.11.4)