HAPPY,


  HALLOWEEN!!












「とりっくおあとりーとぉ!」
「・・・・・」
「・・・何か反応してくんないと困るんだけど」
「とりあえず、今度は何の影響を受けた」


真っ黒なワンピースを身に包み、やたらツバの広い三角の黒の帽子を被ったが訪れたのは凍矢の部屋。
スパン、と許可も確認も遠慮も無しに開けて叫んだのは先程の言葉。


「えっと・・・はろいん?らしいよ」
「曖昧だな」
「螢子ちゃんによるとね、この日に子供が仮装してお菓子もらいに回るんだって。で、大人はあげないといけないらしいの」
「あげなかったら?」
「悪戯されるんだってー。トリックオアトリートは『お菓子をもらわなきゃ悪戯するぞ』って意味らしいよ」


の持っている籠に目をやる凍矢。
その中には飴やらチョコやらが無造作に入っていた。中には何故か酒のつまみと思しき物も入っていた(恐らく酎から貰ったものだろう)
どうやら先程の行為は既に別のところでもしていたらしい。


「凍矢で最後にしようかなって」
「悪いが、菓子なんてもの無いぞ」
「え」


途端、ムスッとした表情になる
確かに彼が菓子など持っているなんて考えにくい。
でも、ひょっとしてこの行事を知っていて持っているかもしれない、と訪れる前まではそんな淡い期待を持っていた。
だがしかし、先程説明した感じで知らなかったんだ、と今気付く。


「むー」
「無いものは無いんだから仕方ないだろ」
「おーかーしー」


喚いたところで何もならない。
それだけ持っているのに、まだせびる気か、と凍矢は内心思った。
すると、何か思いついたのか喚いてたの口が閉じた。
籠を床に置き、自分より少し背の高い彼を見上げる。


「ふーん、そっかぁ、凍矢持ってないんだ、お菓子(にまぁ)」
「あ、あぁ」
「(ニヤニヤ)おりゃ!」
「!」


普段見る事のないの表情に油断した凍矢。
はその隙に手を上げ、凍矢の頭を掴んでわしわしと掻き乱す。
自分の頭を乱すその手を掴めば、それは容易に離す事は出来たが、すっかり髪は乱れてしまっていた。


「何するんだっ、いきなり」
「悪戯♪だって凍矢、お菓子くれなかったもん」


してやったりな表情を見せる
凍矢の中の何かに火が点く。




「・・・?いた・・・っ」


両手で両手首を掴んでたのをいい事に、少しだけ力を加える。
細く白い手首はそのまま力を加え続けると簡単に折れてしまいそうで。
ぎりっ、と握り締めたと同時に歪むの顔。
その隙を突いてその両手首を片手に纏め上げ、空いたもう片方の手で肩を押し、壁に縫い付ける。その拍子に被っていた帽子が床に落ちる。
何が起こったかわからないは只、只、凍矢の顔を見上げる。
の目に映るは、意地悪な目の色と表情をした彼。


「お前が俺に悪戯とはな・・・。成長したもんだな、?」


口角を上げ、いつもより低い声で囁くように言う。
コレはヤバイ、と思いながらもの心臓はドキドキと高鳴っていた。
腕は相変わらず彼の手によって拘束されているため、抵抗する事が出来ない。
否、抵抗しようと腕を動かそうとするが、それ以上の力で押さえつけられてしまう。


「だって、お菓子持ってないって・・・」
「・・・そうか。ならば、俺も言わせてもらうか」


次に耳元に聞こえたのは先程が行った台詞。
トリックオアトリート。


「も、持ってないよ・・・」
「あるだろ、そこに」


目線の先を辿れば、そこには菓子がわんさかと入った籠が。無論、がもらったもの達である。


「わ、わかったから・・・、渡すから離して」
「自力で抜け出すんだな」
「む・・・無理だよ」
「そうか。・・・だったら悪戯、だな」


肩を押さえていた手を離し、するりとの頬へ移動させる。
滑る指先の感触に思わずビクッと反応してしまう体。
その反応が面白くて、思わず笑みを零してしまう。
そのまま頬を触っていた指を滑らすように顎に持って行き、強制的に自身の方へ向かせる。
自分と同じような色した瞳とは対称的に白い頬には赤みが差していた。
強制的に上を向かされ、嫌でも入ってくる彼の顔。
髪が乱れているとは言え、おろしている状態であって思わず綺麗、と呑気に思ってた頃には唇同士が重なっていた。
それはいつもより長く、甘い味がした。






菓子か悪戯か
(凍矢は意地悪だから、いつだって悪戯するじゃん・・・!)(・・・ほぅ、そんな口も利けるようにもなったのか)(わゎ!ご、ごめんなさ・・・!待って!)(問答無用)











コレ書いたの10月31日だからセーフって事でいいですよね(アウト)
この二人であまりチューさせた事ないなぁって思ってやってしまいました。後悔はしてないです。
ハロウィン、悪戯。なんて美味しい響きなのかしら。・・・ねぇ?
(2011.11.1)



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