「待ちやがれェェ!ーッ!」
「嫌ですー!」
ドドドドと走り回る。ひたすら走り回る。
屯所、屯所周り、江戸の街、公園、万事屋、万事屋の周りなどをもうかれこれ何時間走り続けてるんだろう、マラソン行けるよコレ。
万事屋は狭かったから捕まると思ってたんだが、定春ちゃんが沖田隊長の頭を食べたので逃げ切った(感謝だよ神楽ちゃん!)
まぁ、結果として主人の銀さんに追い出されたんだけど、私達二人。
「待ちやがれェェェィ!!」
「嫌ですぅぅ!!」
この台詞も何度目か。
走り続けてる向こうも凄いけど、追いかけられ続けてる私も凄いと思う。
因みに言っておくが、私は攘夷志士でもなんでもない。真選組隊士で、しかも副長補佐。
副長補佐だから隊長の上司にあたるんだけど、なんとなく敬語。因みに同い年。
なんか、この人には逆らっちゃいけないという本能が動くのだ。
でも、今日は何が何でも逆らってやる!
「いい加減疲れねーかィ、お姉さん!あそこで茶ァしばこうぜ!」
「何お姉さんって!なんかナンパ調だし!」
「女はさぁ、愛するより愛される方が幸せなんだよって母ちゃんが言ってた!」
「それっ、誰かがどっかで言ってた台詞なんですけど!というか、お前母ちゃんいないだろ!」
訳わからない口論も体力を消耗させるが、それどころじゃない。
捕まってはいけない。此処で捕まったら・・・っていうか、愛されてもねーよ私!
隊長がそんなキャラだなんて今まで知らなかったよー副長ー!!
副長もこないだ、マヨネーズ鼻から吸ってたし、もう嫌ー!
「もう嫌ッ、この仕事!やめたーい!」
「オイオイオイ、やめちまったらだーい好きな沖田総悟に会えなくなっちまうよー?」
「何が『だーい好きな』ですか!寧ろその逆ですよ!」
「ーッ!後でお仕置きなー!」
「なんでそうなるんですかー!」
本当に嫌!このサド王子!
隊長のお仕置き半端ねーもん!こないだ逆さ吊りされたし!(私女の子なのに!)
しかもしかも、不自由なのをいい事に色んなところ触ってきたり、見たり・・・!(セクハラ王子!)
「なぁー、ー!いい加減諦めたらどーだィ!」
「嫌だっつってんだろバカ隊長!」
「あっ、隊長にそんな口聞くんだ、へー」
「上司コッチなんですけどー!」
「俺は副長でィ!」
「嘘付け!」
「〜!ちょっとでいいからさ〜!」
「い〜や〜!!」
グキッ
「ギャッ!?」
足グキッて鳴った!グキッて鳴ったァァァァ!!
痛いよ痛いよ副長〜!
「つーっかまえった♪(ガバッ)」
「やー!!」
あぁ、遂に捕まってしまった・・・。
さようなら、私の・・・、
「さぁー、観念してゲホッ、こゼェゼェ・・・、このガハッ」
「観念しませんけど、普通にゲホッ、喋ってください」
あまりに長い時間走ったからか、いつも涼しげな感じの隊長の息が上がってる。
上がっているだけならまだしも、二人共吐きそうなぐらい走った。というか、今吐きそう。
「さぁー、観念して・・・」
あ、どうやら息が整ったらしいです、副長(そしてさらば、私の純情)
「このメイド服に着替えるんでェィ!!」
「嫌ー!変態バカー!!」
なんで私がこんな目に!
(うー・・・)(超可愛い!大好き!)(・・・メイドがですか、そうですか)
(2007.8.15)
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