「・・・・・」

「起きたかー?」

「・・・さようなら」

「待てェェェ!!起きた早々さようなら宣言!?」



誰だってさようならしたくなるわバカヤロー。

何コレ、デジャヴ?前もこんな事あったぞ(相手は違うけど)

何、私ってばシャイ?シャイなのか?・・・自分で言ってて虚しくなるのは何故だろう。

思い返すも何も、昨日、私は遂に銀に抱かれてしまった(遂にというかなんというか・・・)

その時の記憶がうん、アレだよ、ハッキリと覚えてる訳よ、悲しい事に。

っかしーなァ。土方さんの時は思い出すのに数秒かかったってのに、なんでだ。

まぁ、覚えてるもんはしゃーないか。

でも、覚えてる覚えてないにしろ、布団からは出たくない。理由は簡単、抱かれた後とまだ裸だから。

まとめるとアレだよ、恥ずかしいんだよ、私ゃ。

『出てこーい』『恥ずかしがんなって』『銀さんの事拒否ですかコノヤロー』と、私に話し掛けてる銀。

いや、こちとら出たくないし、恥ずかしいし、今は銀の事拒否したいよコノヤローですよ。



「なぁー、ー。出てこいって」

「ヤダ、恥ずかしい、銀の事拒否る」

「傷付いたっ!最後の言葉、銀さん傷付いたっ」

「何を言われようが、銀が出るまで出ない。あ、出るって部屋をね」

「ツンツンしてんなァ」



へっ、ツンツンで結構。

アンタみたいなツンデレじゃないんでね、コッチは。

そういえば、今何時だろ。寝てたみたいだけど、私達。

まさか、夜が明けたとか・・・ないよねー(汗)



「そういえば、。なんかブーブー煩かったけど?携帯」

「うそォ?」

「本当。で、履歴見させてもらったけど、土方土方土方土方・・・たまにゴリラ」

「嘘ォォ!?」



恥ずかしいという事も忘れ、布団を跳ね除ける(つか、何勝手に履歴とか見てんのォ!?)

銀の手から携帯を奪い、履歴チェック。

・・・本当だ、土方さんばっか。あ、近藤さんに総悟君・・・

時計を見ると朝・・・というか昼に近くて、日付が変わってて・・・えーと、此処に来た時間は・・・昨日の昼過ぎで・・・



「嫌ァァァァ!!丸一日此処で寝てたのォ!?」

「もう昨日の夜から煩かったんで、一回だけ出ました☆」

「☆じゃないよ!出ましたって何!誰と話したの!」

「え、・・・さぁ、どっかのマヨラーなんじゃないの?」

「目ェ逸らすなァ!つーか、何?土方さんと話したのッ?なんて言ってた!というより、何の会話した!?」

「『お宅のちゃん、うちで預からせて頂きます』的な」

「えええええ!!」

「安心しろォ、ちゃんと責任持ちますとも言ったから」

「安心出来ねェよ!何してくれんのォ!責任って何!恥ずかしくて帰れない!」

「え、じゃぁ、銀さんのとこに永久就職する?」

「まだしない!」



あくまでも『まだ』だけどね。

今、さらりとプロポーズされて(前もあったよね)、動揺してないつもりでも凄いしてる。

そりゃぁ、永久就職出来るもんならしたいさ。でも、永久就職させたいんなら、それなりの収入出来る仕事しなよ。

なーんて言ってもどうせ、私が一家の大黒柱になりそうだけどさ。











――――・・・ッ



「ん?なんか聞こえない?」

「気の所為じゃねーの?」



――――ン、ドン・・・ッ



「いやいやいや、やっぱ聞こえるって」

「何、ちゃんってばもうそんな年〜?」



ドンドンドンッ!バンバンバンバンバンバキッ!!



「いやいやいやいやいやいや、めっちゃハッキリ聞こえるよ、玄関の方から」

「俺は聞こえないからいーの」

「ちょ、確認だけはしてってよ。着替えたいし」

「んだよ、そんなに第2ラウンドが嫌ってか?」

「何!第2ラウンドって何!誰の許可を得てそんな事言ってんの!」

「俺の息子」

「ざけんなァァァ!!」

「だってもうフライングしそう」

「変態!早漏!」

「んだとコラァァァァァ!!」











「何してんスか、土方さん、近藤さん」

「何回呼び鈴鳴らしても出てきやがらねーんだよ」

「コラァァ!開けやがれ!を返せェェェ!!」

「え、さん、いるんですか?」

「マジでか!今開けるネ!」

「あ、オイ!ちょっと待て!って聞きやがれ!」

「なんで待つ必要があるんです?アンタ達だって急ぎでしょうに」

「いや、それはアレだ、アレ(最中だったらどうしてくれんだ)」

「?なんなんスか」











「なんかいつの間にか着替えちゃってるし!銀さん放ったらかし!?」

「うるせェ!こちとら仕事があるんだよ!つーか、そっちがさっさと着替えろ!」

「さっき、の裸見たからマジで無理なんだって!ちょ、触ってみ」



銀は私の手を取って、男にとって大事な部分を触らせる(触らなくても見てわかるし!)

勿論、触れた瞬間、力を振り絞って振り払ったけど。



「ギャーッ、汚い!」

「きたな・・・ってそれが一番傷付くし!毎日ちゃんと洗ってます!」



汚く感じるんだから仕方がないでしょう!

それにテメェ!コッチはそんな見慣れてないんだよ!生まれたての子馬みたいな気持ちなんだよ!

マジでお願いだからさっさと着替えろ!







「銀ちゃん!が来てるってホントアルか!?」



突然の乱入者に二人とも硬直。

神楽ちゃんは一瞬だけ目を見開いたものの、



「見損なったヨ銀ちゃん!」

――――ッ!!」



蹴り上げてしまった。え、何処をって、アレだよ、股間の紳士(らしいよ、銀によると)

声にならない叫び声を上げた銀はその場に蹲ってしまった。

見る限り痛そう。



「アンタそんな格好で何してんだァァァ!!すいませんさん!マジすいません!」



乱入者2、新八君。

なんか土下座してるけど、逆にコッチが申し訳ない気持ちになるのは何でだろう。

日が高い時に相応しくない叫び声が聞こえる中、乱入者3と4が入って来た(土方さん、近藤さん)



「銀時ィィ!お前、に何をしたァ!」

「なんでゴリラまでいんだよ!何をしたって、勿論ナニをだ!」

「何だとォ!!」



ギャーギャー騒いでるけどね、銀。アンタまだ素っ裸なんだけど。



「返せ!俺等と過ごしてきたを返せ!」

「知るかァ!こちとら、寺子屋時代より前から一緒なんだよ!お前等より絆は深い!」

「銀。今すぐ浅くしてやってもいいんだよ?」

「浅くするより切れ。こんな碌でもない奴とは縁を切れ」

「イエッサー」

「ちょ、!!見捨てないで!銀さんを見捨てないでお願い!」

さん。次は俺なんてどうでしょうか」

「総悟テメェ!どっから入ってきて、何言ってんだァ!?」

「勿論、玄関から。なんでェ、そんな事も知らねェのか」



あ、今度は土方さんと総悟君との言い合いが始まってしまった(ホント、いつの間に入ってきたの総悟君)

なんだコレ、何この光景。

新八君は土下座してるし、近藤さんと銀、土方さんと総悟君は言い合い。神楽ちゃんは酢昆布食ってる(あ、コレどうでもいいや)

端から見れば訳のわかんない光景だよ、コレ。



「そーいやテメェェ!!よくも俺ののハジメテを奪いやがったなコノヤロー!」

「何ィ!?そうなのかトシィィィ!!」

「へー、アンタいつの間にさんとそんな関係に?今すぐ死ね土方(ガチャ)」

「バッ・・・何言ってんだテメェ!」



オイオイオイ、なんかレベルが上がってんじゃねーか。



「銀。いい加減、服着たら。年頃の娘(神楽ちゃん)がいるんだし」

「そうネ!この歩く変態!」

「お前、全然動じてねェじゃねーか!それと!一気に現実に引き戻すのやめて!」



お前が非現実的なだけだろーが。

銀はやっとの事でいつもの服に着替えた。

でも、着替えたからといって、先程の騒ぎは収まらない。寧ろ、ヒートアップしていってる模様。



「・・・新八君。君も大変だね」

「ハイ(前に誰かに言われた台詞だ)」

「ゴメンねェ、甲斐性なしで」

「いえ、もう慣れましたから」

「慣れって恐いねェ」

「そうですね。・・・さんはなんで、掴み所のない人を好きになったんですか?」

「んー・・・その掴み所がないところが好きになったかも」

「・・・なんか感じますもんね。人を引き寄せる何かが」

「そうね」























その後、無理矢理あの3人に連れ帰らせてしまった。

そして、そんな私を待っていたのは大量の書類(いつか殺してやる、土方。あ、総悟君のが移ってしまった)

泣く泣く書類に目を通し、判子を押していく私。

一時のテンションに身を任すと滅ぶって知ってたのに、バカな事をしてしまった。って、前もこんなん無かったっけ?

今、ミントンしてた山崎君を捕まえて、お茶を入れさせて愚痴を聞いてもらっている。



「元彼と現彼が一緒の空間にいた私の気持ちがわかりますか」

「まぁ、あの二人は普段から仲悪いけどね。それより、もうミントンして来てもいい?」

「一昨日の晩、仕事サボって彼女らしき人物とナニしてた事を土方さんにバラしてもいいんならいいよ」

「此処にいます(なんで知ってんのォォォ!!)」

「それで良し」

「(良しじゃねーよ畜生)大体、も昨日そうだったじゃんか」

「あ?私はもう知られてんの。恥ずかしいよ」

「昨日、副長が御立腹だったよ」

「それは今日、銀が全て受けてくれたから」

「で?どーだったのよ、旦那は?」



ニヤついた顔で聞いてくる山崎君。

てめっ、人の性生活を聞いては楽しむつもりか。



「山崎君はどうだったのよ。彼女らしき人は」

「らしきじゃなくて彼女だし。もう、凄いからねアイツ。声もいいし体もいいし・・・」



開き直って話してやがるし。



「ほらほら、俺も話したんだからも話さないと」

「・・・もうアレ何って感じでした。初めても同然な私に何アレ!?的な」

「ナニが?」

「そう!痛くてしゃーなかったんだよ!」

「へェ、旦那はでかいんだ」

「波動砲までいかなくてもバズーカだからね。山崎君はなんか短小っぽい」

「なんだとォォォゥ!!」



地味なだけに短小っぽい、そう言ったら『全国の地味男に謝れェェ!!』だって。

あ、泣き出してしまった(男のプライド傷付けてしまったみたいだ)



「そういうは貧乳だよな」

「うっせェェェ!!」

「良かったね、二人とも貧乳は許せるみたいで」

「でも、女は男が短小だって事は許さないよ!」

「わかっとるわァァ!それに俺、短小じゃねーから!」

「ほー、見せてみろよ!此処にポツンとポークビッツを!(バンバンッ!)」

「見せれるかァ!俺の見せるんなら、のちっこい胸も見せろ!」

「セクハラで訴えて勝つから!」

「俺が勝ってやるわァ!!」



何の言い合いになったのかわかんなくなってしまった。

それにしても、貧乳は傷付いたから。コンプレックスを直接言われて傷が深まったから。

コッチも泣いたら急に山崎君が私の胸を掴んできた(ギャァ!)



「あ、掴むほどもねーや」

「何をををを!!」

「俺の彼女なんて凄いよ、バイーンと」

「うるせェよ!うぜェよコイツ!それに、なんか巨乳だと邪魔くさいって友達言ってた!」

「あぁ、確かに貧乳は動きやすそうだね。揺れないから」

「コイツマジでうぜェェェ!!」



チクショー・・・コイツこんなキャラだっけ!?

そういえば、銀が前に男は誰しも変態だとか言ってたな。

さっきは山崎君のプライドが傷付いてたけど、今度は私のプライドが傷付いた。

愚痴を聞いてもらう筈がなんだ、この仕打ちは。























「お前、ホント胸ねーよな」



バキッ!



「いってェ!殴る事無いんじゃないの!?」

「銀ちゃん最低アル」

「セクハラ発言はやめてください」



先週、山崎君に侮辱されたとこなのに今度はコイツにか。

ったく、非番だからって来るんじゃなかった。



「私、ガキ共と約束してるネ。行ってくるヨ」

「僕も買い物に出かけます。銀さん、真昼間から変な事、さんにしないでくださいよ」

「あー、わかったからさっさと行けオメー等」



なんかする気だ、コイツ。

新八君が冷ややかな眼差しをしたが、すぐに出て行った(待て!狼の檻の中に私を置いていかないで!)

ピシャン、と音がした後すぐに銀が抱き付いて来た。



「なー、ー。シよーぜ(ゴソゴソ)」

「や、やめ・・・」

「着物ってやっぱ脱がせやすいよな」



グイッと着物の合わせを横に広げられる。



「ヤダってば、銀・・・ッ」

「嫌よ嫌よも好きのうち。それに、俺はに触れたいの」

「っ・・・そんな事言って許さ、れると思ってっ、んの?」



声をあげないように抗議する。

銀の愛撫にいちいち感じる私も私だけど。



「・・・ったく、一回だけだかんね・・・ッ」



やっぱり許してしまう私(最近、銀に弱くなっていってる)















「あー、満足」

「・・・・・」



やけにすっきりしてる銀と、逆にぐったりしてる私。

激しいもん、コイツ。ついていけない・・・

よくもまァ、貧乳娘に欲情出来るね。



はいい身体してんなァ」

「貧乳フェチ?」

「バカヤロー、コンプレックスはあった方が萌えんだぞ」

「お前、私の貧乳をコンプレックスっつったな。殴っていい?」

「それに、巨乳は巨乳で凄いと思うけど、やっぱり掌サイズが丁度いいんだよな〜(もみゅもみゅ)」

「ドサマギで揉むな!」

が貧乳なのはアレだと思うぞ、戦争時代にサラシ巻いてたから。押し潰されてたらでかくなるもんもならんわ」



確かに下着なんて買いに行く暇なかったからサラシで過ごしてたけど・・・(今もたまにサラシ巻くし)

別にいいじゃないか。下着は見られたら恥ずかしいけど、サラシはそんな恥ずかしく無いし。

大体、男装にサラシは必須だぞ。え、私は男装なんかしませんよ。







「今更だけどさ、銀」

「何よ」

「私でいいの?こんな、血生臭い女・・・」

「お互い様だろ。俺がいいと言ったらいいんですー。は俺の傍にさえいればいいんですー」

「・・・でも、」



ペラペラペラと言葉を並べる。

独占欲が強いとか、忙しくて会えないかもしれないとか、我が侭言っちゃうかもとか色々。



「いいんじゃねーの」



銀は私が話した事を一言でまとめた。



「別にそれくらい俺は平気。寧ろ、普通に嫉妬とかして欲しいし。そんな重荷なんざ苦じゃない」

「・・・・・」

「それに、俺の方がそういうの強いから。嫉妬とか、異常だと思う」

「銀、」

「コッチが聞く方だな。俺でいいのかどうかって」



いいに決まってるって言えたらどんだけいいだろう。

でも、頭の隅ではちょっと違うなと思って、その発言をやめさせられる。

何が違うのかわからない。でも、私は銀さえよければそれで。



「けど、足らない」

「え?」

「此処まで進んどいてアレだけど、足らない」

「・・・性欲がですか」

「それも含まれてるけど、言葉も愛情も足らない」



・・・そうか、足らないんだ。



「私も足らないよ、銀。もっと、もっと愛して」

「お前も愛してくれよ、俺を。もう独りにだけはなりたくねェ」

「うん、私も。・・・私ももう、銀とは離れたくないよ」



ぎゅぅと抱き締めあって、気恥ずい音を立てながらキスをし合う。

それでも足らない、と思ってしまう私は重症なのだろうか。

だが、愛を確かめ合ってたら新八君がタイミング悪く帰ってきて、こないだのデジャヴが起こってしまった。

・・・皆さん、間が悪すぎないかねェ。















「ちょ、聞いて!マジでありえない出来事がァ!」

「何、先日振られた山崎君」

「お前なんで知ってんのォ!」

「総悟君が言ってた」

「(あんのクソ野郎ォ・・・!)もうありえない。もう当分、彼女作らない」

「どんな振られ方されたの」

「振られた理由はベタに『飽きたから』」

「何処がありえないの」

「ありえないのは付き合ってた理由!『金づる』だってよ!」

「ギャハハハハハ!!」

「ちょ、心身ともに傷付いてんのにバカ笑いは無いんじゃないのォ!?」

「バカは余計。にしても笑えるわー、金づるって。その女は愛などより金が大事なのね」

「チクショー、今思い出しても湧き上がってくる感情は怒りだけ!」

「山崎君ー、元気出しなよ。そのうち地味な男が大好きvって言ってくれる子が現れるって!」

「それ慰めてるつもり?どうせなら別のもので慰めてよ」

「別のものって?」

「身体で慰め(バゴォッ!!)グフッ、!」

「アレ、銀?」

「俺のに手ェ出すたァ、いい度胸してんじゃねーか。ジミーの癖に」

「ちょ、アンタなんでいんの」



「オイィ!!そっちに白髪パーマいなかったかァ!」

「局長ォ!それらしき人物は見つかりません!」

「探せェ!厠、風呂、中庭全部探せェェェ!!」



「・・・・・」

「言ったろ?俺は独占欲が激しーんだ」

「・・・銀」

「ん?(怒るかなー)」

「大好きだバカー!」

「え、えぇ!?(予想しなかった展開!)」







太陽は今日も変わる事なく輝く。











5.恋の重荷も苦ではない