今日はえぇ天気やなー。
なんや、何やっても上手くいきそうなぐらえぇ天気やわー。
あぁ、こんな日は仕事せずにのんびりと過ごしたいもんや。
ま、いつものんびりとしてるけどな。
なんかえぇ事ないかなー。
んーっと背伸びしてると、後ろから声をかけられた。
同じ関西人である河内だ。
「なんや。サボりかぁ?」
「ちゃう、昼寝」
「それを世間一般ではサボり言うんや」
「はぁー、かなんわ、ミナミのもんはよぉ」
「八尾バカにすんなや!しかも南やないで、東や!」
「梅田より南はミナミじゃぁ!」
一言で関西。それは府県にわかれる。
一言で大阪。それは大阪市を境にキタ側とミナミ側にわかれる。
うちは最初、河内とはめっさ気が合わんかった、が、段々と打ち解け始めていたのは随分と昔。
たまーに今みたいに言い合いになるが、それも楽しくなってきた。
「つか。前から思ってたんやけどよぉ、なんでワイの前だけ関西弁に戻んねん」
「いやー、東京来た後、奴等に合わせとったらなんや標準語になったんやけど、河内の関西弁聞いて感覚戻ってきてなぁ」
「さよけ」
「さようや」
はぁー、なんか河内とおると大阪に帰った気分になるでホンマ。
他の人の前では未だ標準語使ってるけど、うち。
「おぉ、の関西弁、久し振りに聞いたんじゃ」
「東」
「お、なんや東。そんなにうちの関西弁聞きたけりゃ、河内と一緒に来ぃや」
「おぅ!」
「って、聞きたいんかい!ワイかて喋ってるやろ」
「なんかが使ってると新鮮なんじゃ〜」
「ちなみにうち、土佐弁も喋るで」
「スゲー!」
「ちょぉ待ちぃ!今まで聞いた事あらへんで!」
「だって今初めて言ったし。何故かっていうと、実家が高知やし」
「なんやて!」
はぁ〜、楽しいわコイツ等。
このままサンピエールとの対決も忘れてのんびりと過ごしたいな。
出来れば冠と。
「せや、。コレも前々から聞きたくてず〜っと気になってたんやけどな」
「何?」
「冠と何処までいったん?」
ビクッと体が震える。
コイツ、人の脳内が読めるんちゃうんか。冠の事考えてた矢先にコレや。
つーか、東(未成年)がいるのに・・・、(いや、うちも未成年やけど)
「?」
あ、ひよこ口になっとるわ・・・。
なんや、東と同い年やのに、河内の言った意味わかってしまううちはもうダメなんか?それとも、東が純粋なだけか?
「なぁなぁ、どうなん?」
「・・・あずまぁ、河内がエロい事聞いてくるんやけど、助けて」
「なんじゃと!河内っ、それはダメなんじゃ!は冠のものなんじゃよ」
「ものってアンタ・・・」
しかもなんか微妙に違う。
うちはエロい事を聞いてくると言ったが、東には河内がうちにエロい事してきたと勝手に変換しちゃったらしい。
「えぇやんけ〜、ちょっとぐらい」
「ダメじゃダメ、むぐぅ!」
「なぁなぁ、〜」
東の口塞いでまで聞きたいのか、このエロ河童。
「聞かせる義務ないわ」
「そないな事ゆって〜、ホンマは何もしてないんちゃうんか」
「むっ」
失敬な!やる事はやっとる!と言いかけたが、寸でのところで飲み込む。
熱くなったらコイツの思う壷やからな。
此処は冷静沈着に、
「なんや、妬いとんの?うちに」
「アホ!ワイにその趣味はあらへん!」
「僕もありませんよ」
「ホレ、冠かてこう言って、って、冠きゅ〜ん!?」
「冠〜」
うちは冠の元に歩み寄る。
近くまで来たら頭撫でてくれた。
それがちょっと恥ずかしいけど、ちょっと嬉しい。
「人の彼女になに手出してんですか」
「ちゃうちゃう、手出した覚えあらへん。そんなじゃじゃ馬に」
「なんやと!」
「ぷはっ!出しとったんじゃ!が助けてくれって言ってたんじゃ!」
「アホ東!話ややこしくすんなや!」
「うっ、冠ゴメン。うち、嫌やって言うたのに、河内が無理矢理・・・。うぅっ」
「わかってますよ。あとで然るべき処置を取りますから」
「コーラコラコラコラ!悪ノリが過ぎんでホンマ!」
ていうか、河内が色々な事聞いてくるし、冠が来たから昨日の事思い出しちまったじゃないか。
密かに熱くなった頬に手をあてる。
前の方で東と河内がぎゃんぎゃん言い合いしてる中、冠が気付いたかのようにクスリと笑った(あー、恥ずい)
「あれ、。もしかして昨日の事でも思い出してるんですか?」
「ちゃう!こ、コレはアレやアレ、河内と言い合いしているうちに熱くなってな」
「(くすくす)言い合いしてる様子はなかったみたいですけど?」
あーもう嫌や、どっから見ててん、コイツは。
河内達はどうやら周りが見えてないらしく、うちらの話も聞こえないらしい。
「なんなら教えましょうか?河内さんに」
「何言って・・・!」
冠はうちの襟首を少し広げ、鎖骨らへんに顔を埋める。
うちは若干混乱しながらも、早く離れろという意味を含め、冠の頭を引き離そうとする。
けど、ぬめりとする舌の感触とチクッとした痛みを感じ、思うように力が出ない。
河内達はやっぱり周りが見えとらんからか、全く気付かない。
目の前に人がいるのに、こんな事されているうちは不覚にもドキドキしてまう。
スリルと冠がうちに触れとるとで心臓がどうにかなってしまいそうや。
「どうしたんじゃ、。顔が赤いぞ?熱でもあんのか?」
「アホ。バカは風邪引かへんって」
「うちバカちゃうわ」
東達が気付いた時は既に冠はうちから離れとった。
顔が熱い、目頭も熱い。
うちはその場から逃げるように立ち去った(冠も当たり前のようについてくる)
「・・・なんや、上手い事いってるやんけ。冠もやりおるよのぉ」
「?」
広い自室に戻り、はぁっと溜め息を吐く。
なんや全身の力が抜け、その場に座り込んでしもた。
「冠のアホ」
さっきの事で怒り半分、恥ずかしさ半分で睨みつける。
冠は特に怯んだ様子もなく、寧ろ楽しそうな顔している。
普段の優しそうな表情は保ちつつも、若干黒い笑みも浮かべている。
「アホ、アホアホ、性悪」
「そんな顔で罵声を浴びせられてもねぇ、・・・誘惑してるんですか?」
「んな訳あるかぃ!もー!怒りで大阪弁が抜けへんやんけ!」
「あれ、怒ってるんですか?」
キョトンとした顔でマジに聞いてくる冠。
おんどりゃ、その可愛い顔を殴りたくなってきたわ。
「しかも、こない見えるようなとこに付けよってからに!」
「虫除けです」
「アンタが虫みたいなもんやで!」
可愛い顔して性質悪いでホンマ。
一体何人の女をその顔で騙してきたんやろか、16にして!
「末恐ろしい子やで、ホンマ」
「だから、涙目で睨まれても逆効果ですよ」
「誰の所為やと思ってんねん!」
だって、仕方ないじゃないですか。
貴女のその反応が見たくてつい、いじめたくなってしまうんですよ、。
きゃんと総悟が若干混ざっちゃった。
コレは大阪弁キャラにしようかと書いてたら、段々強気なヒロインちゃんになっちゃって没になったものです。
こんなんでも好きって言ってくだされば嬉しいです。
(2010.2.21)
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