好きです好きです好きです好きです、大好きです。
そう何回言っても振り向いてくれない先生。
終いには適当に受け流して、ハイハイとか言いながら私の頭をわしわしと強く撫でまわすんだ。
先生、好きです、言っても無駄な言葉だと、神楽が言った。
無駄ネ。先生は所詮、私達子供は相手にしないアルヨだって。
何が悪いの、ねェ。たかが大人≠ニ子供≠フ違いでしょ、ねェ。
お妙ちゃんにそう言ったら、全然違うのよと言われた。嗚呼、何が違うっていうの。
先生に聞いても、同じ答えが返ってくる。
なによ、なによ、皆して私を蔑むんだ。
先生の事が好きだってだけなのに、なんでいけないのよ。
私は本気の本気なんだから。そんな、冗談で親子愛情だとかそんなんじゃないんだから。
先生に好き好き好きとしつこく言った後、先生は俺なんかより年の近い奴を好きになれって言われた、なんで。
ヤダよ、先生じゃないとヤダよ。そう言っても、先生は前を見たまま。
嗚呼、先生と私の間の距離が長い。コレが大人≠ニ子供≠フ差だなんて、今更。
その差がとても遠いなんて事、とっくに知っていたのに、それを頑張って頑張って縮ませようと足掻いて。
結果、こういう風に思い知らされる。
でも、私は先生が、坂田銀八先生が大好きなんだ。
先生の為ならお金も稼ぐし、家事だってするし、セックスだってするよ。
・・・あぁ、それが子供の考えなんだ。銀八先生はそんな事、求めてないのにね。
先生、お願いよ。私に一時でもいいから、夢、見させて。
そう言ったら、先生が私に迫ってきて、勢いでキスされて。
苦しいと嬉しいと哀しいの感情が色々混ざってからか、私は必死になって暴れて。
数分、いや、数秒して離れてから彼の一言、夢、見たか。夢という名の悪夢を、だなんて。
うん、夢見たよ。でも、私はそんな先生も大好きなんだ。
先生、先生、先生。
でも、先生は決して、振り向いてくれない。
嫌いだよ、先生なんて。
(俺を嫌っていけ。そうしたら、お前は悪夢から解放される。けど、そっからは俺の悪夢の始まりだがな)