ツキン、ツキン
「沖田さん。またそんな怪我して」
「さんに治療してもらうから怪我するんでさァ」
「嘘おっしゃい」
「あ、バレやした?」
ニシシと笑う沖田さんの顔は10代特有の幼さを持っている。
体は大人なのに、こういった表情はまだ子供。
でも、
「それも、女の子にも怪我させたんでしょう?ダメじゃないですか」
「アイツはいいんでさァ。数時間後に治ってるからねィ」
たまに、こういった大人な表情を見せる。そう、今みたいに。
私に向けられた表情(かお)ではない。わかってる、わかってるよ、そんな事ぐらい。
「いくら相手が夜兎族だからって、女の子ですよ」
「その女の子が俺に怪我させてるんですぜィ?」
「まぁ、それは確かに大した子ですけど」
私も笑う。クスクス、と。
無理して笑ってはいないけど、何処か笑顔に力が入ってしまう。
沖田さんと話せて嬉しい筈なのに、苦しい。
苦しいよ、沖田さん。
大人なのに、泣きたいなんて、思ってしまうんですよ。
ヅキ、
「さん。アンタ、体調崩してないかィ?顔色が悪いぜィ」
「そうですか?きっと、疲れてるんでしょう」
「そりゃいけねーや。今からでも寝なせェ!」
「何ですか、その楽しそうな顔は(クス)」
「だって、さんが体調崩したから看病してるっつったら、サボりにならんでしょう」
「やっぱり、それが目的なんですね」
ツキン
「だって、この後、報告書とか始末書とか始末書とか始末書とか書かなきゃいけねーんですぜ。やってらんね」
「始末書ばっかじゃないですか」
「コレも皆、あの女の所為でさァ」
ズキッ
いたい、痛いよ、沖田さん。
私、とっても痛いです。貴方が確実に私に傷を付けてるんです。
・・・なんて、そんなのは私の妄想。沖田さんは決して、悪くない。
「じゃぁ、さん。くれぐれも無茶しないように」
「沖田さんも」
ツキン、ツキン、ツキン、
い た い よ 。
泣いてるの?
痛いのは
指
ですか?
こころ
ですか?
(私の中で声、が聞こえた)
8月3日、片想い様。