悲しみに狂った子供達を残して帰って来た。
色んな人に坂田銀時≠聞いて回ったが、結局わからなかった。
只、コレだけ絶対にわかったのは、坂田銀時は何があっても護るという事。
滅茶苦茶でも、チャランポランでも、糖尿病でも、よくわからなくてもコレだけはわかる。
坂田銀時とは、坂田銀時であって、他の何者でもなく坂田銀時・・・あれ、よくわかんなくなっちゃった。
いつも一緒にいたという子供二人は、父親が帰って来ない子供みたいに狂い、泣いている。
「坂田銀時坂田銀時坂田銀時坂田銀時坂田銀時坂田銀時坂田銀時」
否、狂っているのは私か。
なんで、なんでだろう。何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故。
色んな人に聞いても、ほとんどの人は坂田銀時は何があっても護ってくれる人だと言う。
「さか、た銀時・・・」
人だったそれ≠ノ口付ける。
その唇は氷のように冷たくて固くて、なんの感情も無い。
護ってくれる人だったから、護ってくれた人だったから。
そんなちっぽけな武士道が無かったらこんな事になってなかったのにね。私を護ろうとしなかったらこんな事には。
さっきの子供達より狂っている私は何度も何度も死人に口付ける。
既に止血している傷口には包帯を巻き、泥と血だらけだった顔や身体は綺麗に洗い、今此処にいる。
外見から見たら只の青白くて気味が悪いが、血が付着しているよりはいいだろう。
心臓も脳も血液も何もかも機能を停止しているのに、彼の顔は青白いが、まだ綺麗。泣きたいほどに。
目を閉じて、口を閉じて、全く動かない彼。
コンプレックスだった天パは白髪だからか、この暗い部屋では目立っている。
私、その髪好きだよ。
「貴方は貴方の人生を生き、そして逝った。貴方は貴方であって、他の何者でも無い貴方は」
からくり人形みたいにペラペラ喋る私は悲しみに狂った人間。
私なんかを護らなければ、貴方を知っている沢山の人を悲しませる事はなかったのに。
闇から出してやるなんて言って、貴方が闇に入ってどうするのよ。
「貴方は誰にも知られていた。白夜叉として、万事屋として、坂田銀時として誰にも」
「貴方の事を好きだと言ってくれる人が沢山いた。悲しんでる子がいた。なのに、貴方は私を護って逝った」
「貴方はそれで良かったの?良かったのね、本当に良かったのね」
「ねぇ、生きて欲しかったよ」
坂田銀時≠ヘ私が殺しました。