私はどっちかっていうとゴハン派だけど、パンも大好き。
特にパンタジアっていうとこのパンは美味しい!
サンピエールも捨て難いけど、パンタジアの方があったかい気持ちになれる。
でも、私の場合はそれだけではないんだよね。
あの人のパンが食べたいがために三日に一度は学校帰りに来ている。
パンタジア本店。
本店だけあってかなり大きく、取り扱っているパンの種類もいっぱいある。
様々な形や味、見ているだけでも楽しくなる。
でも私は、色々なパンがある中、コレだけは必ず買っている。
それは、好きな人が作ったパンだから。
「うーん・・・、どれにしよう?」
「こちらはいかがですか?焼きたてですよ!」
「(焼きたて!)それください!」
「ありがとうございます。コレ、僕が作ったんですよ」
「本当ですか?凄く美味しそうです!」
「そう言ってもらえると嬉しいです(にっこり)」
それが1ヵ月ぐらい前の会話。
いっぱいある種類の中、中々決まらずに立ち往生していると、そのパンを勧められた。
最後に見せた笑顔で一瞬に恋に落ちてしまった。一目惚れなんてガラでもないのに。
それ以来、焼きたてだろうが売れ残りだろうが、彼が作ったっていうパンは必ず買っていた。
たまに売り切れてる時があったのだが、いつもいいタイミングで焼き上がったのを持ってくる。
桃色の髪に優しそうな顔で、半ズボンがとても似合う男の子。
年は多分、私と一緒ぐらいだから、アルバイトの子かなと思う。
でも、アルバイトでパン作っているのって凄いよね〜。
名前は冠君って言うらしい(壮大な名前)(他の店員さんが彼を呼んでいたのを聞いた)
「いらっしゃいませ」
「わ!」
「あ、すみません。驚かすつもりはなかったんですが」
冠君だ。
いつの間にかレジにいた人と交代していたらしい。
「いつも僕のパン買ってくださりありがとうございます」
「い、いえ・・・」
あ、恥ずかしくて目が合わせられない。
「その制服はこの辺の女子高ですよね?」
「は、はい。ちなみに高2です。えっと、貴方は何処の高校に行ってますか?」
「え、僕は卒業しましたよ」
「へ?」
アレ、以外に年上なのかな?(18歳?)
「僕、アメリカで飛び級で大学も卒業しました。ちなみに今、16歳です」
「え、え、えぇ!?(16歳!?)」
私と同い年で大学まで出てるの!?留学で!?凄い優秀・・・。
びっくりして財布を落としそうになった。
「凄いですね」
「そうみたいですね」
「みたいって、自分の事じゃないですか」
「それより僕、貴女ともっと色々話したいです。僕は冠茂と言います。貴女は?」
私と冠君の距離がちょっと縮まったみたい。
冠君って黒くも出来るし、白くも出来るから好き。
(2010.3.25)
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